保守論客の独り言

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「きっこのメルマガ」を読む(1) ~日本学術会議が憲法23条の「学問の自由」によって保障された政府の影響を受けない独立した組織という嘘~

今回はTwitterのフォロワー数が16万人という人気ブロガー「きっこ」のメルマガを読んでみたい。

日本学術会議は、内閣総理大臣の管轄で国費で運営されていますが、憲法23条の「学問の自由」によって保障された「政府の影響を受けない独立した組織」です。そのため、会員の任命権者は総理大臣ですが、これはあくまでも形式的なもので、総理大臣は会議が推薦した会員候補105人を黙って承認することしかできません。しかし、菅首相は、この「形式的な任命権」というルールを無視して、自分にとって都合の悪い候補者6人を排除したのです》(きっこのメルマガ「菅首相の6人任命拒否で暴かれた、安倍前首相が犯していた憲法違反」:2020.10.08 MAG2NEWS)

 日本学術会議が<憲法23条の「学問の自由」によって保障された「政府の影響を受けない独立した組織」>というのは嘘である。おそらく「大学の自治」と混同させてこのように言っているのであろう。

《大学の自治とは、特に大学の教授の任免が政府によって一方的に行われるものではなく、大学みずからにより自主的に行われなければならないことを意味する。大学教授の地位が外部の権力によって左右されることがない場合に、はじめて大学における学問研究・教授の自由や真理の探究が可能となるからである》(佐藤功日本国憲法概説』(学陽書房)全訂第4版、pp. 180-181)

 が、日本学術会議は「内閣総理大臣の所轄の下、独立して職務を行う内閣府の『特別の機関』」であり<政府の影響を受けない>などと言うこと自体自家撞着も甚だしい。

 総合科学技術会議日本学術会議の在り方について」(2003(平成15)年2月26日付)には以下の文言がある。

日本学術会議が政策提言を政府に対しても制約なく行いうるなど中立性・独立性を確保したり、諸課題に機動的に対応して柔軟に組織や財務上の運営を行っていくためには、理念的には、国の行政組織の一部であるよりも、国から独立した法人格を有する組織であることがよりふさわしいのではないかと考えられる。

○また、科学者コミュニティの意見を集約して政府に対し提言を行うなどの役割を考えると、日本学術会議を全くの民間の組織とすることも適切でなく、その設置については法律等により国家的な根拠を置き、国の予算措置により財政基盤を確保すべきである。

○欧米主要国のアカデミーも政府から独立した法人格を有する組織であり、法律、勅許等による設置根拠を有し、政府から財政支援を受けているのが通例である。

○これらの点にかんがみれば、日本学術会議の設置形態については、最終的な理想像としては、国家的な設置根拠と財政基盤の保証を受けた独立の法人とすることが望ましい方向であると考えられる。

 つまり、現体制のままでは中立性・独立性が確保できないので、欧米主要国のアカデミーのように政府から独立した法人とすべきだとの答申なのである。【続】