保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

「シナ人権侵害」非難決議見送りについて(1) ~人権は普遍的価値ゆえ内政干渉が許されるという危険な論理~

《中国政府による深刻な人権侵害を非難する国会決議案の採択が、自民、公明両党の執行部の判断で見送られた》(6月17日付産經新聞主張)

 決議案の中身を見ておこう。

新疆ウイグル等における深刻な人権侵害に対する非難決議案

 近年、新疆ウイグルチベット南モンゴル、香港、ミャンマー等では、信教の自由への侵害、強制収監をはじめとする深刻な人権侵害が発生している。人権問題は、人権が普遍的価値を有し、国際社会の正当な関心事項であることから、一国の内政問題にとどまるものではない。

 シナを直撃することを避けるために<ミャンマー>が付け加えられているが、これがシナ問題であることは論を俟たない。非難は当然ではある。が、私はこの問題を<人権侵害>として論じることには若干引っ掛かりがある。

 <人権問題は、人権が普遍的価値を有し、国際社会の正当な関心事項であることから、一国の内政問題にとどまるものではない>。これは明らかにフランス人権宣言を淵源(えんげん)とする左翼の論理である。人権は普遍的価値を有するとは左翼の勝手な言い草である。

 普遍的価値を有する人権が侵害されているのであるから他国が口を挟んでよいという論理は「危険」である。これでは人権侵害を理由に他国の主権を侵害することも可能になってしまいかねない。

 本当の問題はシナが現在進行形の侵略国家だということである。新疆ウイグルチベット南モンゴルのみならず、満洲、台湾に至るまで、シナが異民族、異文化を侵略し、民族浄化、文化浄化を行っているのが問題なのである。つまり、この侵略を「正当」と見るかどうかが問題の本質だと私は考える。

 この事態に対し、一方的に民主主義を否定されるなど、弾圧を受けている人々からは、国際社会に支援を求める多くの声が上がっており、また、その支援を打ち出す法律を制定する国も出てくるなど、国際社会においてもこれに応えようとする動きが広がっている。そして、過日の日米首脳会談においても、人権状況への深刻な懸念が共有されたところである。

 が、民主主義は絶対的なものではない。権威主義国のシナに民主主義を迫っても暖簾に腕押し、糠に釘である。問題なのはシナのやり方が民主主義的でないとか、普遍的人権が侵害されているとかといったことではない。異民族、異文化を武力によって制圧し、非人道的な浄化政策を行うこと、そのことが非難されるべき根本なのではないだろうか。【続】