保守論客の独り言

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自民党失言防止マニュアルについて(2) ~「人権思想」はすべてに優越するのか~

桜田義孝前五輪相の「子どもを最低3人くらい産むようにお願いしたい」とする発言に、与野党幹部から30日、反発の声が相次いだ。立憲民主党蓮舫参院幹事長は記者団に「最低な発言だ。こんな古い発想を持っている人が大臣だったことが驚きでしかない。国会議員の恥だ」と述べた》(KYODO 5/30(木) 12:12配信)

 私は、「二重国籍」疑惑が掛けられ、これをごまかした蓮舫女史も十分<国会議員の恥>だと思う。「目糞鼻糞を笑う」ような話を平気で出来ることが私にはまったく理解できない。

《国民民主党原口一博国対委員長は記者会見で「そもそも人権に対する意識が欠如している。人間の尊厳を保障する国会議員の務めが全く分かっていない」と非難した》(同)

 左翼「人権思想」はすべてに優越する考えなのか。桜田氏を擁護しても詮無きことなのではあるが、かつては子供が生まれることを喜んだ社会というものがあったのであり、そのような考え方を「古い」と一蹴するのは、それこそ人権意識が欠如してしまっているのではないか。

 否、今でも子供が生まれることは嬉しいことではないか。であれば、人数はともかく、子供を産んで欲しいと希(こいねがう)うことを「古い」と否定するのは新世代の横暴であろう。

 私が桜田氏ならこう言うだろうか。

「今、少子高齢化が大きな問題となっています。1つは出生率の低さの問題でありますが、これを改善するためにも、まず子供を産み育てやすい環境づくりというものをしっかりとやっていかなければならない。

 一方で、右肩上がりの高度経済成長期に作られたシステムが機能不全を起こしつつあることもまた事実であります。例えば、このままでは年金機構は破綻してしまいます。したがって、少子高齢社会に見合った新たなシステム作りが必要とならざるを得ません。年金支給が70歳になる、定年が65歳になるといった議論も避けて通ることはできません。

 これからの日本の発展繁栄のためにも、社会保障の制度改革は待ったなしの状態にあります。持続可能な新たな制度づくりの議論をしっかり進めてまいりたいと考えております。皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます」

 話を自民党の失言防止マニュアルに戻そう。

《マニュアルについて、フジテレビ系で5月15日に放送された「FNN Live News α」が取り上げた。メインキャスターを務める三田アナウンサーは番組中で、以下のように指摘した。

「必要なのはマニュアルではなく、判断力なのではないのでしょうか。言っていいことと悪いことの判断は、誰かに言われてではなく、自ら責任を持っていただきたいです。マニュアルが必要になる時点で、国家議員の資質とは一体なんなのか考えてしまいます」

この指摘に対して、ネット上では「ド正論ですね!」「すごく的確な指摘だった」と称賛する声が広がっている》(FLASH 5/30(木) 15:37配信)

 私はマニュアルがあって悪いとは思わない。それはこれまで討ち死にした議員たちから得た教訓であり総括である。

 勿論、私は議員がマニュアル通りに発言すればよいと言いたいわけではない。議員たるもの信念をもって議論を巻き起こしてもらわねばならない。が、自分が起こした議論は自分で対処処理する、その技量もなければ度量もないような議員は要らぬことを言うな、ということに過ぎない。

 もっと言えば、そんな議員を選ぶな、ということであるが、では誰を選べばよいのだろうか。【了】