保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

丸山議員の北方領土発言について(1) ~無責任な丸山批判~

北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪問した日本維新の会丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=が11日夜、滞在先の国後島古釜布(ふるかまっぷ)で元島民の男性に対し、北方領土問題について「戦争をしないとどうしようもなくないか」「(戦争をしないと)取り返せない」などと発言し、トラブルになった》(513日付毎日新聞2019513 1907分)

 北方領土は、日本はロシアの不法占拠と言っているけれども、第2次大戦で奪ったものだからロシアのものだというのがロシア側の認識である。だからいくら交渉を続けても返還されるはずもない。「戦争」で奪われたものは「戦争」で奪い返すしかない。これがロシア側の論理である。

 つまり、丸山議員の言っていることは間違ってはいない。本当に北方領土をロシアから取り返そうとするのならあってしかるべき考え方である。

 問題は、たとえ「正論」であろうとも、時・所・位を考えなければ正中(せいちゅう)しないということにある。丸山議員にあってはこのあたりが未熟だと言わざるを得ない。

 が、だからといって、平和主義の高みに立って丸山議員を袋叩きにするのも問題であろう。左寄りマスコミが興奮し声を荒げるのは当然としても、所属する日本維新の会が丸山議員を是非もなく斬り捨てたのは頂けない。

《維新代表の松井一郎大阪市長は14日、「国会議員としての一線を越えた。これまで北方領土返還に向けて尽力してきた全ての皆さんの行為を踏みにじる発言で、辞職すべきだ」と述べ、丸山氏の議員辞職を促した。同党は、同日中に党紀委員会を開き、丸山氏の除名処分を決める見通しだ》(毎日新聞5/14(火) 12:04配信)

 今更指摘しても始まらないが、日本維新の会なるものも結局は急進的改革派ではあっても平和呆け日本の所産であることに変わりはなかったということである。

 次に左寄りの人たちである。彼らの多くが丸山議員をお気楽に非難する。が、北方領土を取り返そうとする方策を何も提示せずに、ただ無責任に丸山議員を糾弾するのは倫理的に許されるものではないだろう。

 が、今回の一件の反応からして、おそらく本気で北方領土を返してもらおうなどと考えている日本人はほとんどいないということなのであろう。政治家もマスコミも国民から非難されない程度に返してもらおうと努力している「振り」だけをして見せているということのようである。

 返してもらえるはずがない。もし本気で奪還しようと思えば力づくで奪い返すしかない。が、戦後日本人にはその勇気もなければ信念もない。だから返してもらう努力を続けている「振り」をしてきたのに、丸山議員は本気で取り戻そうなどという「幼稚」なことを考えている。戦争で奪い返すしかないなどと言えば、ロシア樣のご機嫌を損ねるだけである。

 これが戦後日本人の「大人の対応」なのだとすれば心底腐っている。【続】