保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

小学校でのあだ名禁止について(2) ~あだ名禁止でいじめがなくなるは短絡~

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この調査結果の面白いところは、賛成もしないし反対もしないという人が過半数を占めたということであろう。

「良いあだ名もあるので一概に反対とは言えない(40代男性)」

「校則であだ名禁止することに違和感はあるが、そうなる背景は理解できるためどちらともいえない(30代女性)」

(ReseMom 2020.11.11 Wed 12:15)

 が、私は小学校の校則であだ名を禁止することに反対である。あだ名が多くの問題の引き金となっており、これを禁止することが多くの問題を未然に防ぐことが出来るという事実があれば致し方ないが、そうでないのであれば、出来るだけ禁則は増やすべきではないと思うのである。

 禁則で雁字(がんじ)搦(がら)めにすれば、問題を未然に防止することが出来るかもしれない。が、それでは子供達の息が詰まってしまうだろう。

 では、実際にあだ名を禁止して効果はあったのだろうか。

兵庫県内の教諭は「目に見えて変な呼び方をされるということがないだけで、いじめは減ってはいない」と断言する。

 実際に文部科学省の調査では、令和元年度のいじめの認知件数は前年度から6万8563件増加し、61万2496件と過去最多を更新した。携帯電話やスマートフォンなどでの誹謗(ひぼう)・中傷といった「ネットいじめ」も増え続けている》(「学校現場で消えゆく「あだ名」 呼ぶ賛否」:産経ニュース 2021.2.20 11:20)

 要は、あだ名といじめに強い因果関係はないということだ。が、そんなことは初めから分かっていたことである。

 否、禁則だらけの学校は謂わば「無菌室」であり、ここで育った子供たちが果たして社会に出て生活していけるのか甚だ疑問に思われる。「悪」にどう立ち向かうのか、「悪」とどう共存していくのか、といったこともまた重要な学習なのではないか。最初から「悪」が放逐(ほうちく)された場所で一体何を学習しろと言うのだろうか。

 このような言い方は<いじめ>の深刻さを知らぬ者の戯言(たわごと)だと言われるのかもしれない。が、<あだ名>を無くせば、深刻な<いじめ>はなくなる、減少するなどと言うことの方がよほど<戯言>だと私は思う。

《非日常の体験を通してコミュニケーションを深める「冒険教育」…に長年携わってきた関西大人間健康学部の非常勤講師、波多野貴史(たかふみ)さん(50)は…学校でも積極的にあだ名を使ってほしいと考える。「嫌なあだ名で呼ぶ人がいれば、真剣に自己アイデンティティーの重要性を伝えたうえで、自分の納得する好きな名前をつければいい」とし、「個性を尊重しあえる環境が土台としてあれば、自分の呼ばれたいあだ名で呼び合うことで、より信頼が深まる」と話している》(同)

 <あだ名>が問題なのではない。問題なのは良好な人間関係を築くための<土台>である。いかにこの<土台>を構築するかが問われているのである。

 <あだ名>が<いじめ>を生む、だから<あだ名>を禁止すれば<いじめ>は無くなるなどと考えるのは余りにも短絡だと言わざるを得ない。【了】