保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

財政再建派マスコミの迷妄を撃つ

経世済民」(世の中をよく治めて人々を苦しみから救う)が解らないマスコミが多過ぎる。

《政府は楽観的な見通しを排し、財政再建に向けた道筋を描き直すべきだ》(8月2日付読売新聞社説)

《現実に即した財政再建の目標や道筋を再検討すべきだ》(8月7日付日本経済新聞社説)

 <財政再建>とは、日本には1200兆円の借金があり、このままでは国家破産してしまうというという「世迷い言(よまよいごと)」のことである。

《コロナ禍から国民生活を守る支出は惜しむべきではない。だが黒字化が遅れるほど、1000兆円超の借金がさらに増え、将来へのつけ回しも膨大になる。社会保障費が急増する超高齢社会を乗り切れるのかという心配も強まる。

 コロナ後の財政を立て直す道筋を描くのは政府の責任だ》(8月7日付毎日新聞社説)

《日本はGDPに占める債務残高が主要国で最悪の状況にある》(8月4日付高知新聞社説)

 が、このようなことを言っているのは財政の素人か、それとも日本を貶(おとし)めようとする工作活動かのどちらかであろう。

《20年度末の国・地方の長期債務残高は、国内総生産GDP)のほぼ2倍に当たる1200兆円近くに膨らむ。こうした数字を踏まえ、日本国債の格付け見通しを引き下げる動きもみられる。

日銀が大量の国債を購入し、金利の上昇を抑え込んでいるとはいえ、安心できる状態ではない。政府の財政運営に対する信認が失われ、思わぬ危機を招かぬよう、細心の注意を払う必要がある》(同、日経社説)

 知ったか振って書いているが、曖昧なことしか言っていない。<国債の格付け>にしても、格付け会社は政治的に格付けを行っているだけであって、客観的な判断の物差しがあるわけではないからあまり気にしても意味がない。

 財政が健全かどうかを負債の多寡だけを見て判断するのは間違いである。例えば、一般家庭に住宅ローンという大きな負債があるからといってこの家庭の家計が不健全だということにはならないのと同じである。

 健全かどうかは負債だけでなく同時に資産も見なければならない。つまり、「貸借対照表」(balance sheet)によって判断せよということである。が、財政再建派は資産を考慮に入れない。これは、日本経済が成長するのを阻(はば)むために、財政健全化という箍(たが)を嵌(は)めようとする「下心(したごころ)」があるからではないか。

《まずは感染抑止と経済活動の両立に全力を尽くしたい。その上で、歳出改革を進めねばならない。

 21年度予算編成では、各省庁からの予算要求が事実上青天井になり、歳出の膨張が懸念される。使い道を精査し、事業の重点化に努めてもらいたい。

 急増する社会保障費の抑制が不可欠だ。医療費の窓口負担の増加など、高齢者に痛みを伴う改革への理解を求める必要がある》(同、読売社説)

《国民に痛みを強いる歳出・歳入改革に踏み出すのはまだ先になろうが、無駄やばらまきの排除ならすぐにでも取り組める》(同、日経社説)

 新型コロナによる世界的な景気後退の中、どうして景気回復に逆風となるようなことを主張するのだろうか。人々の生活よりも財政再建の方が大事ということなのか。