藤巻氏は次のように解説する。
「財政赤字解消のためには増税しかありません。財政赤字を放置してもなんとかなるのなら消費税どころか所得税も法人税も国は徴収する必要がないことになります。そうでないのなら財政再建のためには、どこかで増税が必要です。増税には目に見える増税(例:消費増税等)と、人々に見えない増税(インフレ)があります。後者は人々が反対しやすいがゆえに政府はそちらの政策を取りがちです。国民から国への富のシフトという意味では増税とインフレは同じです。インフレは借金が名目は同じでも実質的に軽減されるので借金している人(=国)にとって有利なのです。ですからインフレはサマーズ氏のいうようにインフレ税というのです。しかし限度を超えた大借金にはハイパーインフレ(=大増税)が必要になると言う当たり前の話です。限度を超えた巨大借金は日銀の巨額引き受けが不可欠ですので軽いインフレで収まらず、ハイパーインフレになってしまうともいえます。」(「元財務長官サマーズのMMT理論反対論(臨時版)」:2019年05月16日付藤巻プロパガンダ)
単式簿記で<財政赤字>を言い募るのは財政の素人である。負債と資産を比較対照した貸借対照表で判断するのが常識である。
MMTでは、政府の負債が大きくても、それが国民の資産となっているのであれば問題ないとする。別の言い方をすれば、日本は十分な担税力があるので財政破綻しないということである。
国家破産を免れるためには増税已む無しのような言い方は嘘っぱちである。このようなことを言うのは、財政の無理解によるものか、そうでなければ、日本の貶(おとし)めるための工作である可能性が高い。「財政健全化」などと言って緊縮財政を敷くから、日本の経済成長が抑え込まれてしまっているのである。
日本の財政は貸借対照表によって判断すれば問題があるような状態にはない(参照:高橋洋一『財政破綻の嘘を暴く』(平凡社))。したがって、財政再建などと誤った方針をたて、増税する必要もないし緊縮財政を敷く必要もない。したがって、<ハイパーインフレで財政再建>などという訳の分からないことを言う必要もない。
《私は日銀がいつかは債務超過になり、日本経済が大混乱すると訴えてきた。それが現実になろうとしている。ほかの国も景気が悪化し株価は暴落するが、日本は中央銀行が危なくなる。金融市場で株式、円、債券の「トリプル安」になり、第2次大戦直後のような混乱が生じかねない。お札(日本銀行券)が事実上“紙くず”になり、新しいお札が登場することも想定される》(「藤巻健史が警告『日銀破たん後、ハイパーインフレになり、日本経済は復活する』」:AERA dot. 2020.5.16 10:30)
意味不明の妄想である。「オオカミ少年」は有り得ることを騙(かた)るものであるが、藤巻氏の妄想は、有り得るはずのないことであるから、「オオカミ少年」にすら成り得ない。【続】