保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

消費増税の失敗を責められないマスコミ

《昨年10~12月期の国内総生産(GDP)は実質で年率6・3%減と大幅なマイナス成長に陥った。昨年10月の消費増税に伴い、GDPの約6割を占める消費が落ち込んだ。

 政府は増税前、2兆円規模の手厚い経済対策を講じた。それでもマイナス幅は、2014年の消費増税直後に記録した7・4%減以来の大きさとなった。ここまで悪化したのは、消費がそもそも増税前から低調だったからだろう。

 政府は「増税に加え、台風や暖冬が影響した」と説明している。だが昨年7~9月期の成長率は0%台と増税前から消費が振るわなかったのは明らかだ。10月以降の消費動向も増税や自然災害の影響だけでは説明がつかないほど弱い、との指摘がエコノミストから出ている》(218日付毎日新聞社説)

 消費増税を主張していた手前、奥歯に物が挟まった言い方になってしまっているのはどの新聞も同じである。が、今回の消費増税が失敗であったことは火を見るよりも明らかであり、過去の失敗に学ばない政府やマスコミは愚かに過ぎる。

《さらに心配なのは今年1~3月期の景気である。増税の影響が和らいでプラス成長に回復するとの予測が大勢だったが、新型肺炎の影響が広がり、最近はマイナスが続くとの厳しい見方が増えている。

 中国からの訪日客は大幅に減っている。中国に進出している企業も相次いで生産休止に追い込まれた。

 加えて懸念が高まっているのは、日本での感染拡大が及ぼす影響である。感染を警戒して買い物やレジャーが手控えられると、ただでさえ低調な消費が一段と落ち込み、悪化の連鎖を招きかねない》(同)

 新型肺炎の影響から、今後さらに消費が落ち込み、景気が悪化することは避けられない。にもかかわらず、

安倍晋三首相はきのう、「今後とも内需主導の緩やかな回復が続く」と述べた》(218日付北海道新聞社説)

 安倍首相も「潮時」ではないかと思うのは私だけであろうか。

《違和感を禁じ得ないのは、いまだに政府が景気認識を「緩やかに回復している」としたままなことである。すでに中国からの訪日客激減で観光業や小売業が打撃を受けた。中国の生産網が寸断されて苦境に立つ製造業も多い。

 いたずらに先行きを悲観するのは適切ではないが、実体経済の変調を踏まえて従前の景気認識を改めるべきときではないか。その点を見誤るわけにはいかない》(218日付産經新聞主張)

 消費増税が失敗であったことを認めることなく景気対策を行っても単なるばら撒きになってしまわないか心配である。勿論、やらないよりもやった方がよいのだけれども、かといって何の目算もなく対策を施すのは効果という点で疑問符を付けざるを得ない。