保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

GDP大幅減について

内閣府が17日に発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質で前期比7.8%、年率換算では27.8%それぞれ減った。

減少率はリーマン危機直後の09年1~3月期(年率17.8%減)を超え、景気の体感に近い名目値でみたGDPの実額は6年前の水準まで逆戻りした》(日本経済新聞

 このように18日付各紙社説はGDP問題を取り上げている。が、驚くほど中身がない。ありきたりのことが書かれてあるだけで、見るべきものがほとんど見当たらない。

 おそらく各紙とも財政再建派なのであろう。だから歳出を渋って景気を下支えするための有効な手立てを講じることが出来ない。今更MMT(現代貨幣理論)肯定派に宗旨替えするわけにもいかず、更には消費税減税を主張することも出来ないので、手も足も出ない「ダルマ」状態である。

《マイナス成長は、消費税率10%への増税があった昨年10~12月期から3四半期連続という要素もある。2度延期した上に、景気の後退局面に入って増税した安倍政権の判断も検証が必要だろう》(高知新聞

 消費増税が間違いであったとは口が裂けても言えないので、他紙はこのことに触れない。

《企業経営は変革を求められている。

 店舗展開や価格設定は収益に見合っているか、訪日外国人旅行者(インバウンド)に過度に依存していないか、事務の電子化やインターネット通販などデジタル対応に遅れはないか-。

 コロナ禍は日本の産業構造のもろい部分をあぶり出している。子細に見れば企業ごと、業種ごとに業績の濃淡もある。道を切り開く手掛かりはそこにあろう。課題を一つ一つ点検することで危機を体質強化と変革の契機としたい》(河北新報

 これはその通りであろう。が、批判の矛先を政府に向けたいからか、このような当たり前のことが言えない。

《指摘せねばならないのは、政府の対策が現実とずれているという点だ。感染の再拡大が始まっている中で強行した「Go To トラベル」や「アベノマスク」の配布はその典型例だ。双方とも大半の国民は明らかに望んでいなかった。とりわけ「Go To トラベル」には1兆3500億円の巨費を投じつつある。

 緊急を口実に行った現金給付もマイナンバーとのひも付けにこだわり混乱した。中小企業や個人事業主支援のための持続化給付金も業者選定問題が浮上した揚げ句、実施の遅れが目立った》(東京新聞

 この指摘が故無しとしないが、今必要なのはもっと建設的な意見であろう。批判するしか能がないでは役立たずでしかない。

《多くの人が感染を恐れたままの状態では、消費の底上げは難しい。政府が注力すべきは国民の不安軽減である。医療体制の確保と、感染状況の正確な把握を可能にするPCR検査の拡充が急がれる》(読売新聞)

 が、PCR検査拡充が有効かどうかは意見の分かれるところである。抗体検査や無作為抽出検査といったことも並行してどういう検査体制を敷くのが有効なのかについてはもう少し議論を煮詰める必要があるのではないか。

《感染への不安から外出や移動を控える人は依然多い。収束が見通せない状況では、社会・経済活動に一定の制約が続くのは避けられない。有効な治療薬やワクチンが開発されるまでは元の状態に戻るのは難しいだろう》(中國新聞

《ワクチンや治療薬が普及するまでは、人々に社会的距離の確保をはじめとする新しい生活様式が求められる》(高知新聞

 ワクチンや治療薬が普及するかどうかで話はまったく変わってくる。が、このことにすらほとんどの新聞が触れていないのはどうしたことか。