MMT(現代貨幣理論)によって経済的視野が一変した。このことが分からない議論が各紙社説に蔓延している。
《中央銀行が青天井で国債を引き受けて政府の赤字を埋める「財政ファイナンス」は本来、禁じ手だ。通貨の信認が失われ、極端なインフレなどの弊害を招くためだ》(4月28日付毎日新聞社説)
確かに、従来の経済学では中央銀行が政府の財政赤字を無条件に補填(ほてん)することは<禁じ手>だった。
財政法第5条: すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。
「『財政ファイナンス』を行えば、財政規律を失い、悪性のインフレを引き起こす恐れがある、それは歴史が証明している」と言うのである。が、果たしてそれは今の日本に当てはまるのだろうか。
MMTでは次のように考える。
詳細は稿を改めたいと思うが、簡単に言えば、今や金本位制ではないのであるから、国力の伸長に応じて貨幣供給量を増やせればよかったにもかかわらず、日本は債務が膨らんでいるからという「デマ」で緊縮財政政策を敷いてきたために、あるべき経済成長が抑えつけられてきたのである。
アベノミクスの金融緩和によっていったん円安となった為替が再び円高に振れてきているのは、緊縮財政を敷いている1つの証左である。
行き過ぎた金融緩和が「ハイパーインフレ」を引き起こすのではないかと心配されてもいるが、少なくとも「円高」傾向にある今、そのような虞(おそれ)はない。
《安倍晋三政権の経済政策アベノミクスの下、日銀は、過去に例のない大規模金融緩和の一環として国債を延々と買ってきた。それが国債の金利を低く抑え、財政規律を緩める悪影響も生んだ。
財政再建の道筋は見えず、コロナ対応に伴う国債増発で金利が上昇すれば、より厳しさが増す。
上限撤廃は、これまでの購入で日銀の国債保有残高が膨れ上がっている中でも、金利を低く抑えるため、「さらに買う」とのメッセージを打ち出さざるを得ない状況になった末の対応と言える》(4月28日付信濃毎日新聞社説)
私の理解が間違っていれば指摘していただきたいが、要は、国債が市場に出回れば金利が上昇含みとなるが、日銀が国債を買い入れればその虞はないということらしい。であれば、日銀が上限なく国債を購入するになれば、国債増発による金利上昇の問題も回避されるということになる。【続】