保守論客の独り言

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2019年版防衛白書について(2) ~米国頼みが危ういから韓国と仲良くせよとはならない~

《韓国との関係は「戦後最悪」とされ、機密情報を共有する軍事情報包括保護協定は破綻寸前の状況だ。

 政治、経済面で関係改善が期待される中国も、沖縄県尖閣諸島周辺海域では艦船の侵入を続けている。ロシアも首脳会談が演出する「親密さ」と裏腹に、北方領土で軍事力を着々と増強させている。

 周囲の多様なリスクと向き合うのに、米国との同盟だけがよりどころとなっているのが実情だろう》(1116日付神戸新聞社説)

 このような現状認識があるのなら危機感があるはずなのにそれが感じられない。ただ米国頼みの安全保障体制にけちを付けるだけである。

《その米国も、トランプ大統領日米安保条約を「不公平」とやり玉に挙げ、在日米軍の駐留経費負担増を再三、求めている。そうした中で日本が気をもんでいるのは、北朝鮮に対する米国との温度差だ。

 米朝協議を優先するトランプ氏は、短距離のミサイル発射を問題視しない姿勢を示している。日本の排他的経済水域に落下した弾道ミサイルについても「国連決議違反」と非難した日本との違いが際立った》(同)

 つまり、米国は当てにならないということを言いたいのであろう。ならば自衛力を強化すべきとなるはずだが、そうではない。奥歯に物が挟まった言い方をするから裏読みをしなければならないが、どうも韓国との関係を修復せよということらしい。

北朝鮮への対処には韓国との共同歩調が重要になる。だが、韓国軍艦船が自衛隊機に火器管制レーダーを照射する問題が起き、日韓とも相手国の式典に艦船派遣を見送るなど、防衛当局の関係も後退している。

 白書は「韓国側の否定的な対応が影響を及ぼしている」と批判する》(同)

 神戸社説子は、韓国は全体主義北朝鮮と対峙する自由主義陣営に属していると思っているのであろう。が、これは大きな誤解である。韓国は南北統一を夢み、北朝鮮側に軸足を置いている。日本の対応が強硬だから反発しているのではない。北朝鮮側に立つから反日になっているのである。

《日本の安保は、政府同士のいがみ合いで視界不良の状態になりつつある。日韓が背を向け合って利を得るのは北朝鮮や中国、ロシアだろう。政治的な対立と安保を切り離す、冷静な対応を求めたい》(同)

 日韓政府はいがみ合ってなどいない。韓国が一方的に反日姿勢を露わにしているのである。南北統一を目指し、さらには中国やロシアとの関係を優先しようとしている韓国にいくら日本が譲歩しても事態が改善されるとは思われない。

 否、何より日韓関係が改善されたとしても、米国の力なくして中国、ロシア、北朝鮮に対抗できるはずもない。

 米国頼みでは危ういから韓国と仲良くせよというのは的外れもいいところである。【了】