《韓国政府が日韓で軍事機密を守る軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた。日本が輸出管理を簡略化する優遇対象国から韓国を除外したことを理由に挙げている》(8月24日付読売新聞社説)
最近韓国がやっていることを総合すれば、韓国は中国や北朝鮮と仲良くしたいということになる。裏を返せば、日米は「邪魔者」ということである。そのことが分かっていない呑気な社説が目立つ。その典型が読売新聞である。
《日韓両国は、2016年11月の協定締結以降、約30件の情報を交換してきたという。韓国軍は、北朝鮮のミサイル発射の兆候を探知する。海上自衛隊のイージス艦は日本海で、ミサイルの軌道や飛行距離を分析する。
7月以降、北朝鮮が相次いで発射した新型短距離ミサイルについても、情報を共有してきた。
協定の破棄により、韓国は、日本側のデータを直接得ることが困難になる。短距離ミサイルは、韓国を射程に収める。大きな脅威だ。韓国軍の抑止力を自ら低下させる措置を取っていいのか》(同)
韓国は北朝鮮との統一を考えているのであるから、韓国にミサイルが飛んでくるなどと思っているはずがない。読売社説子が言っていることはあまりにも的外れである。
《米国は、協定の維持を韓国に求めてきた。ポンペオ国務長官が失望を表明し、同盟国の韓国に異例の不満を示したのは、日米韓の足並みの乱れが拡大することを懸念しているからだろう》(同)
これも的外れである。米国が懸念しているのは、韓国の持っている日韓の軍事機密情報が中国や北朝鮮に漏れることである。
《同協定は、日韓両国が軍事上の機密情報を共有する際に、第三国への漏えいを防ぐため、情報の保護を義務付けるもので、2016年に締結された。北朝鮮の核・ミサイルの脅威に日韓が連携して対処できるなどの効果があり、日韓双方にメリットのある協定のはずだった》(8月24日付西日本新聞社説)
さらに、日米韓の3か国が協調することで保ってきた北東アジアの軍事バランスが崩れることを危惧しているのである。
《北朝鮮の核開発や中国の急速な軍拡など不安定要因を抱える東アジアでは、米国を中心に日本と韓国の3カ国が協力して脅威に対応してきた。日韓の情報協定はその連携の象徴だ。
それを破棄すれば、北朝鮮や中国、ロシアに「日米韓の防衛協力が揺らいでいる」とのメッセージを送ることになる。軍事情報の交換が滞る実害以上に、この悪影響の方が大きいのではないか》(同)
西日本新聞社説子がしっかり情勢判断しているのに対し、読売新聞社説子は、おそらくは平和の惰眠を貪(むさぼ)ってきたからであろう、あまりにも分析が幼稚なのには唖然とせざるを得ない。【続】