保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

辺野古への土砂投入について(2) ~敗戦後遺症~

《住宅や学校に囲まれた普天間飛行場を移設し、騒音被害や事故の危険性を低減させる重要な意味を持つ。

 中国は海洋進出を続け、南西諸島を含む東シナ海の現状を変更しようとしている。沖縄の米海兵隊は、日本の防衛にとって欠かせない抑止力となる》(12月15日付読売新聞社説)

 あまりにも表層的な話である。尻尾を丸めた「負け犬」のご託宣など聞きたくない。

 問題は、敗戦後70年以上が過ぎているにもかかわらず、どうして他国の軍隊が駐留し続けているのかということである。

 勿論、今の日本には出て行ってくれと言えるような勇気もないし資格、能力もない。だから米軍に駐留いただいて日本をお守りいただくより術(すべ)はないのであるが、だとしても、それを当然のこととして見向きもせず、訳知り顔で辺野古移設の必要性を語られても困るのである。

 日本が独立国であらんとするなら、自分の国は自分たちで守る自主防衛の形をとるべきだ。が、敗戦の後遺症が残り、日本は米国によって軍事的に抑え込まれている。米軍は日本に駐留しているのは、言うまでもなく自国の軍事戦略上の問題であって決して日本を守っているわけではない。勿論、米国が「虎の威」となって日本に手を出す国はないわけであるが、それは結果的にそうなっているというだけの話である。

 日本は米国に守ってもらうために米軍に基地を提供しているのではなく、米国の戦略上、基地を置かれてしまっているだけである。日本の占領は1952年のサンフランシスコ講和条約によって解かれたことになっているが、実際には、米軍基地は居残り、完全な独立はいまだして回復されてはいない。つまり、日本は「半独立国」に過ぎないということである。

 さらに言えば、在日米軍は日本が自主防衛に必要な軍事的増強を抑え込む「瓶のふた」の役割も果たしている。戦前のように、日本が極東のみならず世界の主役を張ることは米国の軍事戦略上よろしくないという判断である。裏を返せば、米国の特に「ウィークジャパン(weak Japan)派」と呼ばれる人たちは、日本が自分の国を自分たちで守ろうとする「普通の国」になることを恐れているということでもある。

《中国や北朝鮮を念頭に、日ごろ「民主主義」や「法の支配」の重要性を説く安倍首相だが、国内でやっていることとのギャップは目を覆うばかりだ》(12月15日付朝日新聞社説)

 左寄りの人達がこのように言っても一般の人達は見向きもしなくなってしまっている嫌いがあるが、これはその通りであろう。米国に言われるがまま「法」を歪めてしまっているのが現在の安倍政権の姿である。

 が、「現実」に対応するために一時的に「法」が歪められることが仮に許されるにしても、それが許されるのは後にこの歪みを是正すればこそである。

 安倍政権は果たしてこの歪みを是正しようとしていると言えるのだろうか。むしろ、憲法自衛隊を明記することで、この歪みは明らかな「矛盾」となるだけのように思われる。【続】