保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

香山リカ女史の講演会中止について ~利己的な言論の自由~

《集会や言論の自由の萎縮につながるような行政の判断が、京都で相次いだ。

 南丹市が企画した子育て応援行事で、精神科医香山リカさんの講演会を中止した。

同市には香山さんの講演に対する「抗議」が電話で5件、来庁で1件あった。「日の丸の服を着て行ってもいいのか」という匿名電話もあった》(11月26日付京都新聞社説)

 これは

憲法第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

に抵触するであろうことは疑いがないが、この手の問題は昨今、左右両派に陸続して起こっている問題である。

 昨年、6月10日に予定されていた一橋大での百田尚樹氏の講演会が、差別とヘイトを先導する人物として反対運動が起り開催中止となった。その後、この意趣返しで27日に予定されていた精神科医香山リカ女史の講演会が中止に追い込まれた。

 月刊『創』編集長の篠田博之氏は次のように書いている。

香山リカさんの講演会に対して抗議や脅迫が始まったのは桜井誠さんの6月15日のツイートがきっかけと言われるが、そこにはこう書かれていた。

「パヨク側はこちら側の講演会をレイシスト講演会だと叫び叩き潰しています。だったら同じことをされても文句はないですよね?」。

これを受けて香山さんの講演を行う予定だった江東区社会福祉協議会にメールや「電凸」が一斉になされたという。そして講演会中止が発表された21日、再び桜井さんはこうツイートした。

香山リカが予定していた豊洲での講演会が中止になったそうです。講演会が開催されることが判明してから各所からの猛抗議が寄せられていたようです。これまで桜井誠早稲田大学講演会、百田尚樹氏の一橋大学講演会などを全く同じ手法で潰してきたパヨク側は当然批判は出来ませんよね?因果は巡る…》》(YAHOO!ニュース:2017/6/23(金) 18:31)

 自分と意見の異なる人達は「抑圧」する。これでは「言論の自由」は「恣意(しい)的自由」でしかない。

 このような問題が生じるのは「自由」というものの履き違えがあるのだと思う。否、自由自体はそもそも勝手なものであるだろう。が、自由には「良き自由」もあれば「悪しき自由」もあると考えれば、例えば、自由を破壊する自由は社会として認められるものではない。つまり、社会あっての自由であり、社会秩序を掻き乱すような自由は認められないということである。

 日本国憲法第21条は制限なしの「自由」を謳(うた)ってしまっているけれども、あるべき自由とは「秩序ある自由」でなければならない。このことがすっぽり抜け落ちてしまっている戦後日本は自由の暴走を止められない。

《ふたつの中止事件が関連していることは明らかだ。しかも、これを放置しておくと深刻な事態に陥りかねないことを予感させる。ここできちんと社会的議論を起こさないと言論をめぐる危ない状況が一気に広がる恐れがあると思う》(同)

 私もこの篠田氏の意見に同意する。が、当時国会もマスコミも「森友・加計」問題に終始していたのであった。

《私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る》

というヴォルテールの言を思い起こすべきである。