保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

防衛大綱見直しについて(1) ~敵基地攻撃能力を議論すべし~

《政府が、2013年に決定した防衛計画の大綱(防衛大綱)を来月、改定する。おおむね10年先を見据えた計画を、5年で見直すことになった。政府の想定を超えて、安全保障環境が悪化したためである》(11月24日付読売新聞社説)

 こんな女々しい言い訳をする必要はない。そもそも10年先の軍事情勢など<想定>出来るわけがないのであるから、「モラルハザード」とならないように、読み違えを一定反省した上でという条件付きで、状況に応じて計画を変更するのは当然である。が、

《中国は、国産空母を建造するなど軍備を著しく増強している。北朝鮮は、核実験や弾道ミサイル発射を自制しているものの、兵器開発は続けているとみられる。

 日本の防衛政策の最重要課題は、ミサイル防衛の強化だ。

 政府は、地上配備型迎撃システム「イージスアショア」を導入する方針だ。優れた探知能力のレーダーも配備する。北朝鮮のみならず、多種多様なミサイルを持つ中国への抑止力を強める狙いだ》(同)

 要は、「イージスアショア」を新たに導入したいということである。その理由として今更中国がどうだの北朝鮮がこうだのと言う必要はない。が、読売社説子がこのような言わずもがななことをわざわざ持ち出すのは

《防衛装備費の増強の裏に米国の影がちらつくことも懸念される。トランプ政権は日本に対し米国製武器の大量購入を迫っている。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」導入もその一例とされる》(11月27日付京都新聞社説)

という批判をかわそうとしてのことなのだろう。が、費用対効果を考えれば、「イージス・アショア」の導入が最善だとは思われない。

《陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」導入は当然だが、百発百中ではない。「積極防衛」政策へ転換し、日本攻撃をためらわせる懲罰的・報復的抑止力として「敵基地攻撃能力」の整備を始めてほしい》(11月26日付産經新聞主張)

 果たして<導入は当然>なのか。金が湯水の如くあるのであれば別だが、限られた予算の中で今すぐに導入すべきものだとはとても思われない。が、現在の日米の力関係からして導入せざるを得ないということはあるだろう。<導入は当然>ではなく「導入も已む無し」というのなら仕方ない。

 一方で、後段にある「敵基地攻撃能力」を持つことが優先課題であるだろう。勿論、これには反対意見が相当強いであろうから、今すぐにでも議論の俎上に乗せ、時間を掛けて煮詰めていくことが必要である。【続】