保守論客の独り言

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防衛大綱見直しについて(2) ~「サイバー戦」&「情報戦」は進行中~

岩屋毅防衛相は就任記者会見で敵基地反撃能力保持についての考えを問われ、

「現段階では(敵基地攻撃は)米国の打撃力に依存している。それを変更する考えはない」(産経ニュース 2018.10.4 19:38)

と答えた。これに対し産經主張子は、

《だが、全面的依存では同盟も国防も成り立たない。米軍の手が回らなければ「座して死を待つ」というのか》(11月26日付産經新聞主張)

と憤慨する。やや大袈裟な物言いであるが、「打撃力」なき「専守防衛」では日本の安全を確保することは難しくなりつつあるという認識は私も同じである。さらに主張子は、

北朝鮮や軍拡を進める中国を前にしてなお、防衛費を思い切って増額する議論がない》(同)

のが問題だと言う。現状では大幅な防衛費の増額を議論するところまで行き着くのは大変だが、そのように主張する政治家さえ見当たらないのは寂しい限りである。

 否、そんなことよりも、現在のように米軍におんぶにだっこの状態を脱し、自主防衛に舵を切るべきだということを言う政治家も出てこない。今はそれを言う状況、言える状況にないという判断なのかもしれないが、どこかで踏ん切りを付けてもらわねば日本の未来はない。自分の国は自分で守るという自主防衛を基本とし、それで不足するところを他国との同盟で補うというのが「独立国」というものではないか。今のままでは米国の保護領でしかない。

《新規で優先的に取り組む分野として宇宙や、インターネットがつくり出すサイバー空間といった新領域を挙げた。今後、予算と人員を重点配分するという。

 併せて人工知能(AI)やレーザーなど最先端技術に重点投資する必要性も強調した》(11月27日付京都新聞社説)

 今回の防衛大綱の見直しは、宇宙やサイバー空間など新領域における対応力の強化に対するものとされるが、軍事防衛の問題が、かつての「熱戦」(hot war)から「サイバー戦」や「情報戦」へと比重が移りつつあることに注意が必要であろうと思われる。今もうすでに「サイバー戦」や「情報戦」は進行中なのだ。そのことに対する認識が日本は甘すぎる。

北朝鮮が昨年9月の核実験の際に、高空での核爆発でつくりだす強力な電磁波で通信や電子機器などのインフラを壊す電磁パルス(EMP)攻撃をちかつかせて威嚇したのは、記憶に新しい》(11月28日付日本経済新聞社説)

 むしろ遅きに失した感が強いが、それでも気付いたらすぐに行動に移す、そのことが肝要である。【続】