保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

米下院が「ジェンダー用語」の書き換えを求めたことについて(1) ~忍び寄るジェンダーフリー~

Leaders in the House of Representatives announced on Friday a rules package for the 117th Congress that includes a proposal to use “gender-inclusive language” and eliminate gendered terms such as “father, mother, son, daughter,” and more. --The EPOCH TIMES, January 1, 2021

(下院の指導者たちは金曜日、第117回議会に向け、「父」(father),「母」(mother),「息子」(son),「娘」(daughter)などのジェンダー用語を撤廃し「ジェンダーを包括する言葉」を使用する提案を含めた規則一括法案を発表した)

 父や母は「親」(parent)に、息子や娘は「子供」(child)に置き換えるのだと言う。

Speaker Nancy Pelosi (D-Calif.) and Rules Committee Chairman James McGovern (D-Mass.) announced on Friday that the rules package includes changes that would “honor all gender identities by changing pronouns and familial relationships in the House rules to be gender neutral.” --Ibid

ナンシー・ペロシ下院議長(民主・カリフォルニア)と規則委員会のジェームズ・マクガバン委員長(民主・マサチューセッツ)は金曜日、規則一括法案に「下院規則の代名詞と家族関係をジェンダーニュートラルに変更することで、すべてのジェンダーアイデンティティを尊重する」という変更点が含まれていることを発表した)

 要は、米民主党とは「ジェンダーフリー」論者の集まりだということである。

 米国のことであるから知ったこっちゃない、と言われればそれまでなのだが、同様の問題は日本でも見られることであり、他人事で済ませられる話でもない。

ジェンダーフリーの主唱者たちは、<男女には社会的文化的役割に違いがないのみならず、生物学的にも違いがない>と主張していた。アメリカの性科学者、ジョン・マネーが『性の署名』(1975年)で展開した、今では完全に否定されているトンデモ学説に依拠したものだ。それによれば、「男らしさ」「女らしさ」という社会的文化的性差(ジェンダー)の意識が生物学的性差(セックス)を規定しているのだという》(八木秀次明治神宮が『同性婚の聖地』になる日」:『月刊正論』2015年5月号)

 大沢真理・東大名誉教授は上野千鶴子・東大名誉教授との対談で次のように「過激」(radical)に語っている。

《セックスが基礎でその上にジェンダーがあるのではなくて、ジェンダーがまずあって、それがあいまいなセックスまで二分法で規定的な力を与えている、けれど本当はあなたのセックスはわかりません》(『上野千鶴子対談集 ラディカルに語れば』(平凡社)、p. 24)

 理由は、

《女で妊娠したことがある人だったらメスだと言えるかもしれないけれども、私などは妊娠したことがないから、自分がメスだと言い切る自信はないし、男にとっては、あなたの子どもを生んだことになっている女の人しか、あなたのセックスについて断言できません》(同)

 半ば冗談でこのように言っているのであろうが、読者の中にはこれを真に受ける人も出て来るに違いない。結果、自分の性別が分からなくなって「アイデンティティの危機」に陥らないとも限らない。何とも罪作りな人達である。【続】