《「桜を見る会」の前夜祭の費用を安倍前首相側が補填(ほてん)していた問題で、東京地検は安倍氏を不起訴とし、公設第1秘書を政治資金規正法違反(不記載)の罪で略式起訴した》(12月25日付朝日新聞社説)
各紙社説はここぞとばかりに食って掛かる。
《首相在任時の政治活動をめぐって、側近、それも国費が支給される秘書が刑事責任を問われる由々しき事態だ。似たような事態を受けて、役職を退いたり議員バッジを外したりした政治家も少なくない。安倍氏の政治的・道義的責任は極めて重い》(同)
<由々しき事態>だの<政治的・道義的責任は極めて重い>だのと「言葉のインフレ」が酷い。このような言葉の使い方をしていては、本当に由々しき事態が出来(しゅったい)した時の言葉がなくなってしまわないかと心配になる。
菅直人第1次改造内閣で総務大臣も務めた片山善博氏は、25日放送のテレビ情報番組「ひるおび!」(TBS系)で、
「今回、目に余るのは、あんな国会で堂々と結果的にウソをついてますよねってこと。時の総理大臣としておかしいんじゃないかと、みんな思ってますよ」(スポーツ報知12/25(金) 13:03配信)
と意見を述べた。
が、少なくともその<みんな>に私は入っていない。逆に、<時の総理大臣としておかしいんじゃないか>と思っているみんなの方がおかしいと正直私は思ってしまう。
総理がこのようなお金の問題まで管理できるはずがないではないか。どうして大臣まで務めた人間がそれぐらいの想像力を働かすことが出来ないのか。民主党政権の大臣はそんなに安楽な職務だったのか。
《不記載と認定された収支報告書のうち19年分は、補填の疑いが国会で問題になった後に作成・提出された。疑惑を指摘された以上、政治家たるもの、関係者に詳細を確認し、自ら書類を点検するのが当然の務めだ。
安倍氏がそうしなかったとすれば、国会、そして国民をとことん愚弄(ぐろう)していたことになる》(同、朝日社説)
政治資金報告にまで目を行き届かせ管理する総理大臣など私には想像もつかない。外交もあれば、内政もある。おまけに、野党・マスコミが「森友・加計」といった問題で難癖を付け支持率低下を図ろうとするのである。このような状況下で、どうして夕食会費用の補填をどうするのかといった問題にまで関与することなど出来ようか。
既に首相の座を降りているにもかかわらず、<みんな>の頭の中に「安倍氏」のことしかないなどということは、安倍氏がいかに影響力の強い政治家であったのかを物語るのであろうが、本当に迷惑千万な話である。
《選挙区内での寄付を禁じる公職選挙法に違反するとの告発も出ていたが、特捜部は安倍氏、秘書ともに不起訴とした。参加者たちに会費を上回る利益を受けた認識がなく、適用は難しいと判断したという。
だが、税金で催される「桜を見る会」への招待とあわせ、安倍事務所につてがあれば、何らかの恩恵にあずかれることが明らかになり、森友・加計問題が引き起こした政治不信を一層深めた。この罪は大きい》(同)
「犯罪」に仕立て上げなければ気が済まない。検察が刑事罰に問わないとしても、広義的には<罪>であることを免れない、という「ゲスい」考え方なのであろう。【続】