保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

選択的夫婦別姓について(4) ~恣意的な多様化と単一化~

最高裁は平成27年、夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定について合憲とした。夫婦が同一姓にすることは社会に定着し、「家族の呼称として意義がある」と認めた。

 判決の中では、姓を変えることの不利益は、旧姓の通称使用が広まることで「緩和され得る」とした。パスポートの旧姓併記のほか、旧姓を通称使用できる企業も増えている。夫婦同姓を堅持し、旧姓使用のさらなる拡充などを検討するほうが現実的だ》(12月7日付産經新聞主張)

 最高裁がこのように判断したのだから一件落着と思いきや、時代は夫婦別姓容認へと傾きつつある。

最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)と第3小法廷(林道治裁判長)は9日、夫婦が同じ姓を名乗ると定めた民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審の審理を大法廷(裁判長・大谷直人長官)に回付した。大法廷は平成27年、夫婦同姓を定めた民法の規定を「合憲」と初判断したが、改めて憲法に適合するか判断するとみられる》(12月9日付産經新聞ニュース)

 合憲判決から僅か5年。この短期日で再判断を迫られるほどのどんな状況の変化が見られたというのだろうか。

《政府が近く策定する「第5次男女共同参画基本計画」が同党(=自民党)の意向で書き換えられ、大幅に後退する内容になりそうだ》(12月18日付朝日新聞社説)

 このことについて朝日社説子は言う。

《一人ひとりの尊厳が守られ、男女の性別に関係なく平等に遇される社会。その実現をめざして努力してきた多くの人の思いを踏みにじる行いだ》(同)

 が、政府の基本計画はまだ出されてはいない。漏れ伝わるところによるとという段階である。にもかかわらず、どうしてこれほど騒ぐのだろうか。琴線に触れるのか、それとも他にネタがないのか。

 これは朝日社説だけの問題ではない。他紙社説も同様に非難の声を上げている。

《社会の状況をどこまで認識しているのか》(12月17日付信濃毎日新聞社説)

《これまで積み上げてきた事実を、なかったことにするような乱暴なやり方である》(12月18日付琉球新報社説)

《時代錯誤も甚だしいと言わざるを得ない》(12月21日付中國新聞社説)

 朝日社説子の批判は止まらない。

《人権感覚のなさと時代錯誤ぶりにあきれるばかりだ。

 法律で夫婦同姓を義務づける国は日本くらいとされ、96%の夫婦で女性が男性の姓に改めている。明治以降定着した制度として積極的に受け止める人がいる一方、改姓に伴う不利益や不便、アイデンティティーの喪失感に苦しむ人も少なくない。女性の社会進出とともに、選択的夫婦別姓制度を求める声が高まったのは当然といえる》(同、朝日社説)

 夫婦同姓を法律で義務付ける日本という国は世界一の抑圧国家なのか。

 日本語を話す国も日本だけであるが、世界で唯一であることはそんなに悪いことなのか。婚姻の在り方を多様化しようとして、国の在り方を単一化しようとする。まさに勝手である。【続】