保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

日本共産党の無理(1) ~全体主義と無縁の共産主義って何~

共産党の田村智子政策委員長は16日の記者会見で、国民民主党と連合の政策協定で排除すべき対象とされた「全体主義」という文言を巡り、同党の玉木雄一郎代表が「共産党のことだ」と名指ししたことについて、「事実と違う発言だ」と強く否定した。(中略)

 田村氏は「日本共産党は一貫して、自由と民主主義を求め続け、守り、発展させようという立場を貫いてきた」と強調。「戦前は絶対主義的天皇制という全体主義の国家の下で、18歳(以上)の男女普通選挙権を求めた」「(集団的自衛権の行使を認めた)安全保障法制は民主主義の危機ということで、市民と野党の共闘を呼びかけた」などと過去の行動を例示し、「全体主義とは無縁だ」と反論した》(毎日新聞7/16() 23:37配信)

 田村女史は共産主義がどういうものなのか真剣に考えたことがあるのだろうか。「全体主義」を排除する「共産主義」などというものは「矛盾」以外の何物でもない。

 蓋(けだ)日本共産党が「全体主義」ではなかったと言うことは可能である。が、それなら<共産党>を名乗るのは止めた方がよい。実際日本共産党共産主義的でない。<自由>を求め続けてきたと言い切るのなら<共産主義>の看板は下ろし改名すべきである。

 共産主義は「平等」を旨とする。だから<自由>は制限されなければならない。つまり、<自由>を求め続ける<平等>などというものは論理矛盾だということである。

共産党小池晃書記局長は19日の会見で…「我が党は戦前から軍国主義ファシズムと戦い続け、民主主義と自由を何よりも大切にしている。全体主義とは対極にある政党だ」と反論。「共産党を『全体主義』とした発言は撤回されるべきだと考えている」と強調した》(朝日新聞デジタル7/19() 18:47配信)

 これは、日本共産党共産主義政党ではないと言っているのに等しいだけである。「共産主義=善」、「全体主義=悪」のように考えているのかもしれないが、そんなのは勝手な解釈である。

 日本共産党は<ファシズム>と戦い続けてきたと言う。が、そもそも<ファシズム>とは何か。ファシズムとは「独裁」である。が、戦前の日本は独裁国家だったのか。戦前の日本は首相が次々に交代している。こんな独裁国家はない。

 敗戦後すぐ、丸山眞男は『日本ファシズムの思想と運動』で日本ファシズム論をぶった。が、丸山は<ファシズム>を定義していない。していないというか出来なかった。

 首相がころころ代わる国を<ファシズム>と呼ぶには余りにも無理がある。日独伊三国同盟を<ファシズム>と一括りにして否定しようとしたために、日本の政治体制がドイツやイタリアの独裁体制と大きく異なることに目を瞑(つむ)ってしまった。

 戦後日本の論壇を牽引した、リベラル派碩学(せきがく)丸山眞男氏の功績は大いに称えられるべきものだとは思われるけれども、敗戦後すぐの論考が時流に阿(おもね)ったところがあったこともまた否めないところではないかと思われる。

 いずれにせよ、未だに戦前の日本を<ファシズム>だなどと称しているところに、日本共産党が時代に取り残された政党であることが現れているのではないかと思われる。【続】