保守論客の独り言

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皇位継承等の有識者会議について(7) ~5月21日政府有識者会議~

5月21日の政府有識者会議では以下のような意見が出された。

国際日本文化研究センター今谷明(いまたに・あきら)名誉教授「女性宮家は早く何とかしなければいけない。とりあえず男系で続いていくしかないが、準備はしておく必要がある。女系天皇の場合、欧州のどの国をモデルにするか研究を始めなくてはいけない。皇族に戻ってもいいとおっしゃる旧宮家の方がどのぐらいおられるか調査が必要ではないか」(産經ニュース 2021.4.21 23:23

 天皇は日本固有の存在であり、欧州に範型を見出すことなど不可能である。今谷氏は<皇室>と<王室>の違いが分かっているのだろうか。また、例えば側室制度の議論を避け、<女性宮家>創設を急ごうとするのも疑問である。

京都産業大所功(ところ・いさお)名誉教授「安定的な皇位継承の対策として男系男子を優先し、男系女子まで容認しておく。皇族女子は男子不在の内廷(天皇ご一家)と宮家の相続も可能として公務分担を続ける。婚姻後の皇族女子は天皇、皇族の公務を内廷職員として補佐できるようにする。元宮家の男系男子の養子縁組は検討すればいいが難しいと思う」(同)

 憲法に定められた天皇の<公務>を前提とするからこのような議論になるのであろう。しばしば天皇の公務過多が問題となるが、このような仕事を陛下に押し付けている日本国憲法がそもそもおかしいのだ。

 <権威>の存在たる天皇憲法で縛るのは「倒錯」である。日本国および日本国民の平和と安寧を祈ること、それこそが天皇の本分である。天皇の<公務>処理のために皇族女子の手を借りようとするのは本末転倒だ。

日大の古川隆久教授「女系、女性天皇憲法上問題ない。全面的に賛成だ。男系男子の維持を主張する方々の議論は、憲法を形骸化させかねないような論理が含まれている。旧宮家皇籍復帰は好ましくない。今の天皇ご一家とは非常に離れた血筋だし、皇族だった経験のない方になるからだ」(同)

 「米製憲法」で日本の皇室について考えるのは馬鹿げている。<憲法を形骸化させかねないような論理>というのも良く分からない。

東大史料編纂所本郷恵子所長「皇室は危機的な状況なので皇位継承資格を女性皇族にまで広げるのであれば、女性皇族は男性皇族と同じように処遇すべきであろう。男女問わず直系長子優先で継承していただければよろしいのではないか。女系は先例がないが、決断できて合意が取れるということであればよい機会になる」(同)

 皇室に対する尊崇、敬愛が欠如しているからこのような発言になるのであろう。<決断できて合意が取れ>れば伝統を破壊しても構わないという考え方には賛同できるはずもない。【続】