国際政治
《米国のバイデン大統領は1月20日の就任演説で、冒頭から民主主義に言及しました。 「今日はアメリカの日です。民主主義の日です」「私たちは候補者の勝利でなく、民主主義の大義の勝利を祝います」「私たちは再認識しました。民主主義は貴重で壊れやすい…
《英国が環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を正式に申請した。自由化の水準が高い貿易圏を、アジア太平洋地域の枠を超えて拡大できるのは喜ばしい》(2月3日付日本経済新聞社説) 英国のTPP参加は、第2の日英同盟とも言えるのであって、日本にと…
《多様性を重視した政治姿勢も特徴だ。副大統領に、女性、黒人、アジア系で初のハリス氏が就任し、内務長官に先住民系として初の閣僚となる女性下院議員のハーランド氏を登用する。 ホワイトハウスの運営を支える政治任用スタッフも6割が女性になる。白人男…
《グローバル化で相互依存が進む現代は、二項対立では捉えられない。 バイデン政権は、旧来の国単位の安全保障観から転換するべきだ。相対的に米国の存在感が陰る流れは変えられそうにないが、その分、民主主義の価値観を共有する国々との連携を強めるのは合…
《米国の新政権が、これほどに沈鬱(ちんうつ)な雰囲気のなかで発足した事態があっただろうか。 いつもであれば、就任式典は民主主義の原点を確認する祝祭の場だった。国際社会は超大国の新リーダーの言葉に、世界の針路を見いだそうとした。 その米国が今…
《歴史問題は解決が難しい。一般的には第三国の仲裁や国際的な司法判断にゆだねる選択肢はあるが、できる限り、当事国間の外交で問題をときほぐすのが望ましい。 その意味で日韓両政府が省みるべきは、2015年の「慰安婦合意」とその後の対応だ。 粘り強…
《判決は事実無根で耳を疑う。日本による「計画的、組織的、広範囲に行われた反人道的な犯罪行為」などと断じたが、調査や実証的研究で、女性を組織的に連れ去って慰安婦にしたという「強制連行」説は否定されている》(1月9日付産經新聞主張) <「強制連…
《韓国で故人を含む元慰安婦ら12人が、日本政府を相手取り、損害賠償を求めていた。ソウル中央地裁は原告の請求通り1人当たり1億ウォン(約950万円)の支払いを命じた》(1月9日付産經新聞主張) これに対し産經主張子は、 《判決は、史実を歪(ゆ…
《当時の安倍首相は、元慰安婦に「心からおわびと反省の気持ち」を表明した。韓国で設立された元慰安婦を支援する財団に10億円を拠出するなど、日本側は誠実に合意を実行に移してきた。 米国なども合意を高く評価し、元慰安婦の7割以上が財団からの現金支…
《日韓両政府が慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年12月の合意から、28日で5年が経過した。形骸化しているのは残念だ》(12月29日付読売新聞社説) 幾つかの新聞社説がこの問題を取り上げているが、私にはこの問題を5年…
《春という言葉が持つ響きとは裏腹に、中東は今日もアラブの春が残した内戦やイスラム過激派の台頭、それに伴う経済の悪化に苦しむ。世界はこの間、テロの拡散や難民の増加など、脅威は中東だけの問題にとどまらないことを目の当たりにしてきた》(12月1…
12月20日付読売社説の「アラブの春10年 いつまで血を流し続けるのか」という標題が気になった。なんとも「上から目線」ではないか。彼等とて血を流し続けたくて流しているわけではない。それなのに安楽に<いつまで血を流し続けるのか>などとどうして…
《日本は電力の8割近くを、化石燃料を燃やす火力発電に依存している。太陽光や水力、風力といった再エネは2割に満たない。 エネルギー基本計画では、30年度の再エネ比率を22~24%と定める。これでは不十分だ。現在、計画の改定が進んでいるが、電源…
《サイエンスとテクノロジーが、論理と価値の両面において、壁にぶつかっているのは確かである。皮肉なことに両者は繁栄ゆえの枯渇に悩まされているのだ。つまり、まず互いに矛盾する異なった仮説がともに事実に適合するというような事態が科学において頻繁…
本当に地球環境を考え、温室効果ガスを削減しなければならないと思っているのなら、その最大排出であるシナ、アメリカに排出削減を迫るべきである。 (経済産業省資源エネルギー庁HP「日本のエネルギー2018「エネルギーの今を知る10の質問」」より)…
10月27日、午前8時45分頃から約10分間、菅義偉内閣総理大臣は、アントニオ・グテーレス国連事務総長(H.E. Mr. António Manuel de Oliveira Guterres, Secretary-General of the United Nations)と電話会談を行ったところ、概要は以下のとおりです…
「シナ」という言葉は侮蔑語ではない。英語のChinaと同系統の言葉である。が、おそらくほとんどの戦後日本人が洗脳され「中国」と呼ばされてしまっている。 逆に「中国」は「世界の中心の国」という意味であり、このように呼ぶことは日本が「シナ」の支配下…
《聯盟(れんめい)の理念は、徐々にすべての國家の上に擴(ひろ)がるべきであり、かくて永遠平和にまで導いて行くのであるが、その實現(じつげん)性(客観的實在性)は證示(しょうじ)せられ得るのである。何故かと言へば、もし幸運にも、ある強力にし…
「国連幻想」の好例として小沢一郎『日本改造計画』(1993年刊)がある。 《冷戦時代の国連は、米ソによる覇権争いの場だった。このため、双方の拒否権によって何ひとつ有効な平和維持政策をとれなかった。東西両陣営の上に浮いた存在だったといえる。と…
《75年の歴史の中でも重要な成果の1つが、1960年に総会で採択された植民地独立付与宣言であろう。「あらゆる形の植民地主義をすみやかに、かつ、無条件に終止させる」と明言した。このため60年代にアジア・アフリカの植民地が次々と独立し国連に加…
《国際連盟の失敗の理由はアメリカやソ連が不参加だったことのほかに、総会や理事会が大国も小国もまったく同等の全会一致を基本としたため、連盟全体としての意思が決められなかったことだとされた。(中略) このため1944年のダンバートンオークス会議…
《国連は自衛のためか、あるいは集団安全保障に関する場合を除いて、武力による威嚇や武力の行使を認めていない。そして安全保障理事会が総会に優越して、国際紛争の解決に必要な経済的、外交的、軍事的制裁の権限を持つ。拒否権がある常任理事国は5戦勝国…
《国際連合が発足して24日で75年を迎えた》(10月24日付琉球新報社説) 日本で「国際連合」と呼ばれている組織は英語ではUnited Nations(UN)であり、第2次世界大戦における「連合国」がその母体である。どうして日本でいかにも中立的な組織であ…
《日中韓など15カ国が、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に署名した。成長著しいアジア地域に巨大な自由貿易圏を築く意義は大きい》(11月15日付日本経済新聞社説) この能天気さは何なのか。米国とシナの新冷戦が勃発している中で、…
《中国の習近平国家主席が9月22日に行った国連総会一般討論でのビデオ演説で、2060年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする脱炭素社会の実現を目指すと表明した。世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国である中国が30年までに排出量が減少に転じ…
《安倍晋三首相が再登板した時、安全保障環境は、第1次政権のころと様変わりしていた。中国は世界第2位の経済大国になり、軍拡と海洋進出の動きを強めていた。大国化する中国にどう向き合うかが、政権の最重要課題となった。 このため、首相は保守的なイデ…
《「積極的平和主義」「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」―この7年8カ月、安倍晋三首相は、そうした言葉で外交方針や成果をアピールしてきた。 首相官邸のホームページ(今年1月17日現在)によると、訪問した国・地域は80、飛行距離は地球40周分近…
《憲政史上最長となった安倍政権は、日本としては例の少ない「外交の顔」をつくった。 しかし、それに見合うような成果は伴わなかった。数々の看板を掲げたものの、首脳の個人的関係の演出ばかりが上滑りした感がぬぐえない》(9月3日付朝日新聞社説) こ…
《まず世界の核兵器の9割を専有する米国とロシアが削減に動くべきだ。 両国に残る唯一の核軍縮ルールである新戦略兵器削減条約(新START)は、来年2月に期限を迎える。青天井の軍拡を防ぐために、両政府は延長の合意を結ばねばならない。 リスクの削…
《大半の核兵器は、一触即発の臨戦態勢に置かれている。戦争の意図がなくとも、偶発や誤算から核攻撃の応酬がおきる危うさと隣り合わせだ》(8月5日付朝日新聞社説) 戦争状態にないのに誤作動によって核ミサイルが飛び交うなどと危ぶむのは「妄想癖」が過…