保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

2050年カーボンニュートラル宣言について(1) ~「カモねぎ」の脱炭素宣言~

10月27日、午前8時45分頃から約10分間、菅義偉内閣総理大臣は、アントニオ・グテーレス国連事務総長(H.E. Mr. António Manuel de Oliveira Guterres, Secretary-General of the United Nations)と電話会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

 冒頭、菅総理大臣から、所信表明演説にて2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにし、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言した旨述べた上で、グテーレス事務総長が主導する気候野心同盟に日本も参加する旨表明しました。これに対し、グテーレス事務総長から、演説で示された果敢な決断を心から歓迎し、高く評価する、完全に支持する旨述べました。(​「菅総理大臣とグテーレス国連事務総長との電話会談」​:外務省HP 令和2年10月27日)

 国際世論に押し切られ、その「思惑」に乗っかるのは政治として二流、三流である。

 これまで日本は13年度の実績を基準に、「30年度に26%削減、50年までに80%削減」を削減目標としてきた。おそらくこれが精一杯の現実的目標であったのだろう。にもかかわらず、<2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロ>にするなどと宣言することは、おそらくは達成不可能と思われる目標である以上、「不道徳」の誹りを免れない。

 否、政治に「道徳」などというものを持ち込んでも意味がないという意見もあるだろう。所詮政治など騙し合いなのだから、「騙す奴が悪いのではなく、騙される奴が悪いのだ」とも言える。が、騙し合いの世界に足を踏み入れるのなら、国益のため、騙す側に回る不道徳漢となる覚悟が必要である。その覚悟がないのなら、「カモられる」だけである。

《気候変動の被害を抑えるには地球温暖化対策の国際ルール・パリ協定の下、産業革命以降の気温上昇を1・5度に抑える必要がある。それには、50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすることが必須だ》(10月27日付朝日新聞社説)

 こんなまったく非科学的なことを本気にするのはお人好しに過ぎる。気温上昇を1・5度に抑えられれば、被害を抑えることが出来るなどと誰がどのように証明したのであろうか。

 気温上昇を1・5度に抑えるためには、50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすることが必須だというのも科学的根拠がない。地球の気温がどのような仕組みで決まるのかなど神のみぞ知ることでしかない。地球の気温が温室効果ガスの濃度によって決まるなどという幼稚な話を信じろということの方がよほど無理がある。

 適当な数式を作り、変数を適当に調整し、自分たちに都合のいい予測を立てる。普通こういうのを「詐欺」と言う。

 おそらく温室効果ガスの排出を零にすることが出来るなどと誰も信じてはいまい。にもかかわらず、このような話が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するのは、そこに「旨味」があるからである。科学者は研究費が欲しい。政治家は一儲けを企む。したがって、地球環境を第一に考えようだの、国際世論に棹差そうなどというお馬鹿さんはただの「カモねぎ」にしかならない。【続】