保守論客の独り言

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韓国慰安婦判決について(1) ~日本の常識は世界の非常識~

《韓国で故人を含む元慰安婦ら12人が、日本政府を相手取り、損害賠償を求めていた。ソウル中央地裁は原告の請求通り1人当たり1億ウォン(約950万円)の支払いを命じた》(1月9日付産經新聞主張)

 これに対し産經主張子は、

《判決は、史実を歪(ゆが)めて慰安婦問題を日本による「犯罪行為」と決めつけた。国家は他国の裁判権に服さないという国際法上の「主権免除」の原則を踏みにじった》(同)

と憤(いきどお)る。

《裁判の焦点は、慣習国際法上の「主権免除」を認めるかどうかだった。国家の行為は外国の裁判所で裁かれないという原則である。

 判決は慰安婦制度について「反人道的な犯罪行為」であり、主権免除の例外だと認定した。

 国際司法裁判所(ICJ)が反人道的であることを理由に例外と認定してきたのは、拷問とジェノサイド(大量虐殺)である。

 慰安婦制度でも例外を認めるというのなら、新たな判断ということになる。判決が、そのために必要となる慎重な検討を尽くしているのか疑問だ。

 人権被害の救済を重視する国際法の流れは、第二次世界大戦への反省から生まれたものだ。大戦中の行為にまでさかのぼって主権免除の例外を認め、賠償を命じることには無理があるのではないか》(1月9日付毎日新聞社説)

 さて、第1の問題は日本が侮(あなど)られているということである。日本が強い応対に出ることが予想されれば、恐らくこのような態度には出ないだろうということである。実際、この判決に対し、

国際法違反を是正するために適切な措置を講じることを強く求める」(加藤勝信官房長官

国際法的にも常識的にも、あり得ない判決だ」(外務省)

と日本側にも強く応対できない事情があるのだろうと思わせるほどの「弱腰」である。韓国はこれを織り込み済みで国際世論誘導を図ろうとしているわけである。

 第2に日本側の対処法の拙(まず)さがある。

《日本は、国家としての責任を認めて謝罪してきた。1990年代に始まったアジア女性基金の事業では、歴代首相からの「おわびの手紙」が元慰安婦に手渡されてもいる。

 2015年には最終的な解決を図るための日韓合意が結ばれた。元慰安婦の救済を優先させるために両国が歩み寄った成果だった》(同)

 日本人は概して争いごとを好まない。したがって、自分の側に非がなくても謝ってしまう性向がある。日本人同士の揉め事であれば互いに引くことで落着する。が、国際関係ではこのような道徳は通用しない。そんな道徳観では付け込まれるだけである。

 謝れば自分の側に非があることを認めたことになってしまう。これが国際常識である。日本が慰安婦問題において繰り返し謝罪してきた以上、非は日本側にあることになってしまっていると考えざるを得ない。【続】