《判決は事実無根で耳を疑う。日本による「計画的、組織的、広範囲に行われた反人道的な犯罪行為」などと断じたが、調査や実証的研究で、女性を組織的に連れ去って慰安婦にしたという「強制連行」説は否定されている》(1月9日付産經新聞主張)
<「強制連行」説は否定されている>という反論の仕方では、「日本人は、朝鮮の婦女子を慰安婦にしたかもしれないが、<強制連行>はしていない」というように聞こえてしまう。このような中途半端な否定論が付け込まれる隙を与えてしまっているのではないか。
<慰安婦>は、当時は合法的だった「売春婦」であった。強制連行もなければ、性奴隷にしたわけでもない。頑張れば故郷に家が建つほどの破格の対価も支払われている。つまり、日本が謝罪する謂(い)われはないということである。このことを明確にしなければ、いつまでも朝鮮による強請(ゆすり)、集(たか)りは終わらないだろう。
にもかかわらず、2015年の「日韓慰安婦合意」の際、岸田外相(当時)が
「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」
と述べたのは、事実に基づかぬ譲歩であり、「売国的」と言わざるを得ない。
《今回のとんでもない判決がまかり通れば、慰安婦を「性奴隷」として日本を貶(おとし)める嘘が世界に広がるばかりだ》(同、産經主張)
国際社会がこの判決をよしとするのかどうかという受け身の話ではなく、日本がこのような判決を出す非礼極まりない国にどれほど毅然(きぜん)とした態度で臨むことが出来るのか、それが問われているのである。
《日本政府が「極めて遺憾だ。断じて受け入れることはできない」とし、韓国側に適切な措置を求めたのは妥当だ》(1月8日付日本経済新聞社説)
などと甘っちょろいことを言っているから駄目なのである。
《判決は日本政府による「計画的、組織的、広範囲にわたる反人道的犯罪」とし、主権免除は適用できないとの原告の主張を受け入れた》(同)
ソウル地裁が「計画的、組織的、広範囲にわたる反人道的犯罪」とする根拠は何か。韓国側にあるのは元慰安婦の証言だけであるから、このようなことは立証できない。あるのはただ日本側が提示した3つの「根拠」である。
1つ目は、済州島において朝鮮人婦女子を狩り集めたという吉田清治の作り話とそれを大々的に報じ続けた朝日新聞の記事があるが、これが「嘘」であったことは吉田本人も朝日新聞も認めている。
2つ目は、「河野談話」である。
《慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった》
という話は証拠もないのにただ韓国側から国内世論を収めるために謝罪談話を出してほしいと頼まれてこのような談話を発したと石原信夫官房副長官(当時)が証言している。
3つ目は、先ほども触れた「日韓慰安婦合意」である。
つまり、「河野談話」「慰安婦合意」がある限り、日本側も偉そうなこと言えた義理じゃないのである。【続】
(1月25日追記)陳昌洙(チン・チャンス)世宗研究所首席研究員も次のように指摘している。
《これまで韓日両国は、1965年の基本条約の不十分さを認識し、歴史問題について補完措置を取りながら関係を発展させることができていた。1960年代まで韓国に逆請求権を主張していた日本政府も、韓国の絶え間ない努力で譲歩してきた。日本軍慰安婦に対する強制性を認めた1993年の河野談話、1998年の金大中(キム・デジュン)-小渕韓日共同宣言、アジアの人々の被害と苦痛に謝罪する2005年の村山談話、2010年にはついに韓国に直接言及して謝罪した菅(かん)談話につながった。不十分だが、安倍首相でさえ2015年の韓日慰安婦合意で責任を認めた。韓国が日本に法的責任を道義的かつ人道的な面だけでも認めさせたことによって、韓日関係は発展することができた》(「韓日関係悪化、危機意識すらない韓国政府」:朝鮮日報日本語版 2021/01/24 08:56)