保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

UN創設75年について(4) ~UNの成果って何?~

《75年の歴史の中でも重要な成果の1つが、1960年に総会で採択された植民地独立付与宣言であろう。「あらゆる形の植民地主義をすみやかに、かつ、無条件に終止させる」と明言した。このため60年代にアジア・アフリカの植民地が次々と独立し国連に加盟した》(10月24日付琉球新報社説)

 どうして欧米帝国主義国が植民地を放棄したのか。私はそれがUNの成果だとは思わない。

 歴史学者アーノルド・トインビーは言った。 

《1941年に合衆国と英国を一時的に打ち破ることによって,日本は西方列強が無敵でないことを実証したし,それによってすべての西方植民地帝国を,早かれおそかれ解体せざるをえなくなる運命に追い込んだのである。その勝利をおさめることによって,日本ははからずも他のアジア諸国民のためになる働きをしたのである》(『歴史の教訓』(岩波書店)、p. 54)

 白人至上主義に日本が風穴を開けた。そのことがアジア・アフリカの植民地独立に繋がったというのが本当のところなのではないか。

《もう1つ重要な成果は、15年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)だろう。環境の保全や貧困の撲滅、教育の保障、男女の平等など30年までに達成する17の大枠の目標を示している。「誰一人取り残さない」社会づくりに取り組む》(同、琉球社説)

 歯の浮くような夢物語は単なる「幻想」に過ぎず<成果>と呼べるようなものではない。冷戦期の米ソ、そして現在進行中の米中の角逐(かくちく)を見れば、そんな悠長な話ではないことぐらいどうして分からないのだろうか。

《国連総会は13日の選挙で、人権理事会の理事国に中国やロシア、キューバなどを選出した。

 香港の国家安全維持法(国安法)の施行やウイグル族など少数民族への組織的迫害、反体制派の活動家らへの弾圧など中国やロシアのような強権国家が、世界の人権状況改善を使命とする人権理事会入りするという》(10月19日付産經新聞主張)

 最も人権を蔑(ないがし)ろにしているシナが人権理事会の理事国となるような組織、それがUNなのである。

《来年からの3年間を任期とする今回の改選で、非民主国家が人権理(47カ国)に占める割合は現在の5割から6割に増える。

 人権理では今年9月に一般討論が行われ、ベネズエラなど多数の国が香港の国安法を支持するなど、自由と民主主義を掲げる欧米諸国とは逆の意見表明が相次いだ》(同)

 とてもじゃないがまともな組織だとは思えない。UNという第2次大戦戦勝国による指導体制は解体し、新たな組織を構築すべきである。TPP(環太平洋連携協定)も1つの土台となり得るのではないか。【続】