保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

歴史

戦後75年の終戦の日を迎えて(3) ~戦前日本のポピュリズム~

《軍部の独走だけにとらわれず、開戦の背景にあるものにも目をこらす必要がある。見過ごせないものの一つがポピュリズム(大衆迎合主義)だ》(8月15日付毎日新聞社説) 最近流行りの「ポピュリズム」を戦前の日本に適用して歴史を再解釈しようというもの…

戦後75年の終戦の日を迎えて(2) ~東条が退けた机上演習~

《日本国憲法は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」とし、「主権が国民に存する」と宣言した。不戦の誓いが民主主義と連結した戦後思想は、国民に浸透しているといえるだろう》(8月15日付朝日新聞社説) <不戦の誓い>を…

どうして「村山自虐談話」を取り消せないのか(2) ~自虐史観という檻~

村山富市元首相は言う。 「当時、私は「村山談話」の作成に際し、作成実務を担った担当幹部に対して、一番、肝心な事は、侵略と植民地支配によって、中国・韓国・朝鮮など、アジア諸国の人々に耐えがたい被害と苦痛を与えた歴史的事実を明確にして謝罪の意思…

どうして「村山自虐談話」を取り消せないのか(1) ~歴史を政治的に決め付けるな!~

終戦の日の15日、村山富市元首相が「村山談話に託した想い」と題したコメントを公表した。曰く、 「『村山談話』は、中国・韓国あるいは米国・ヨーロッパなど、世界各国の人々や政府から、高い評価を受け続けているようで、光栄なことだと思います」 日本…

原爆投下について(3) ~終戦が遅れていたら3発目の原爆が落されていた~

《日本の軍部が降伏するかどうか確信のなかったアメリカ軍は、8月6日と9日、完成したばかりの2個の原子爆弾を広島と長崎に投下した。立ちのぼる巨大なきのこ雲の中で20万人近い人命が一瞬にして地上から消え去り、核時代の恐怖の到来を告げたのだった…

原爆投下について(2) ~原爆を投下したかった~

Unconditional Surrender is the only obstacle to peace,” Foreign Minister Shigenori Togo wired Ambassador Naotake Sato, who was in Moscow on July 12, 1945, trying to enlist the Soviet Union to mediate acceptable surrender terms on Japan’s b…

原爆投下について(1) ~戦争勝利に原爆投下は不要だった~

米紙『ロサンゼルス・タイムズ』に、「合衆国指導者たちは、米国が戦争に勝利するために日本に原爆を投下する必要がないことは分かっていた」と題する記事が掲載された。寄稿者は歴史学者のガー・アルペロビッツ、マーティン・シャーウィン両氏である。 The …

緊急事態条項は憲法に必要か(7) ~カール・シュミット「委任独裁」~

《ドイツの法学者カール・シュミットが言う「委任独裁」が思い出される。戦争など非常時に主権者の全権委任によって一時的、例外的に行われる独裁である》(5月3日付北海道新聞社説) シュミットは、「独裁は、ローマ共和国の賢明なる発明」だと言う。 《…

緊急事態条項は憲法に必要か(6) ~国家総動員法は軍部独走ではない~

《しかし、国権が最優先され、個人の権利が著しく抑えられた過去があることを忘れてはならない。1938年に制定された国家総動員法だ。「私権」を制限する法制度の下で国家統制が敷かれ、国民の徴用などを国家が自由にできるようになった。行き着いた先は…

2021年度中学教科書検定を巡って(4) ~龍馬のいない歴史~

《近年の英語の大学入試改革をめぐる論議では、専門家から「話せるようになるためにも文法の土台が大切」との指摘が相次いだ。一方に偏らない教え方の工夫が求められる。 「技術・家庭」の技術分野も変容が著しい。全教科の中で最もページ数が増えたが、それ…

見直しが進む戦勝国史観について

東京裁判で唯一「日本人被告全員無罪」を主張したインドのラダ・ビノード・パール判事は次のように言った。 《時が、熱狂と、偏見をやわらげた暁には、また理性が、虚偽からその仮面を剥ぎとった暁には、そのときこそ、正義の女神はその秤(はかり)を平衡に…

外国籍の子供の「学ぶ権利」について(4) ~外国人の歴史の誤り~

《「外国人の人権」を考えるとき、そもそもなぜ、その外国人が日本で暮らすこととなったのかを、きちんと理解することが、なによりも重要である。「不満があるのなら自分の国へ帰ればいいじゃないか」という、ある意味では素朴な、しかしときには悪意をもっ…

桐生悠々について(2) ~悠々は「平和主義者」ではなかった~

桐生悠々は、戦後言うところの「平和主義者」のような存在ではなかった。実際、<戦争は必ずしも悪いと決ってはいない>と言う。 《戦争と平和と、いずれを択(えら)ぶかといえば、国民の多くは後者を択ぶだろう。一部階級のものを除いて、残余の多数は、戦…

「人権」と憲法97条(2) ~GHQホイットニーの顔を立てた97条~

《人権、人間の尊厳、法の支配、民主主義――。 めざすべき世界像としてSDGsも掲げるこれらの言葉は、西洋近代が打ち立てた普遍的な理念として、今日に生きる。 基本的人権の由来を記した日本国憲法の97条にならえば、「人類の多年にわたる自由獲得の努…

日韓関係について(4) ~人の道に反する「嘘宣伝」~

《安倍首相は、朝鮮半島に残る歴史的な感情のしこりに無神経な態度が相変わらずだ。 先の臨時国会の所信表明で、100年前のパリ講和会議で日本が人種差別撤廃を提案したことを誇らしげに語った。だが、当時の日本が朝鮮の植民地支配で差別を批判されていた…

日韓関係について(3) ~陸奥宗光の目~

陸奥宗光は『蹇蹇録(けんけんろく)』で朝鮮統治について次のように書いている。原文には句読点がなく読みづらいので、口語試訳を添えておく。 《抑々(そもそも)我國の獨力を以て朝鮮内政の改革を擔任すべしとの議の世間に表白せらるゝや我國の朝野の議論…

日韓関係について(2) ~事実に基づかぬ朝日社説~

《これまでのところ深刻な経済ダメージが取りざたされるのは日本側だ。これまで中国に次ぐ2番目の規模だった韓国人観光客の足が遠のいた。 日韓の間に位置する長崎・対馬の観光業者は「経営的に限界という声が少なくない」(長崎県対馬振興局)という》(20…

風化する太平洋戦争(6) ~レーニンの認識論~

《人々が日本を朝鮮の冒険に誘いこもうとしたとき、日本人はアメリカ人にむかってこう言った、「もちろん、われわれはボリシェヴィキに勝つことができる。しかし、諸君はその代りにわれわれになにをくれるつもりか? 中国をか? われわれはどっちみち中国を…

風化する太平洋戦争(5) ~日米を彼らをたがいにいがみ合わせろ、と言うレーニン~

《将来の日米戦争という問題をあつかった膨大な文献がある。戦争が準備されつつあること、それが避けられないということ、このことには疑いの余地はない。平和主義者はこの間題を回避し、きまり文句でそれを塗りつぶそうとつとめているが、経済的諸関係と外…

風化する太平洋戦争(4) ~敗戦革命論~

《L・F・サフォード大佐は、当時、ワシントンの海事通信部で機密保全を担当していた。彼は、海軍提督(トーマス)ハートによる調査に対して、次のように答えている。 「12月4日、我々は2つの独立した情報源から、日本はアメリカ、英国を攻撃する、ただしソビ…

風化する太平洋戦争(3) ~自虐史観の呪縛~

《米大統領フランクリン・ルーズベルトは1940年10月8日の段階で、海軍大将ジェームズ・リチャードソンに対し「遅かれ早かれ、やつら(日本)は過ちを犯し、そしてわれわれは戦争に突入することになる」と語っていました。 陸軍長官ヘンリー・スチムソンの日…

風化する太平洋戦争(2) ~「自虐史観」の辻褄合わせ~

《正式決定の段階では落ちたが「南方施策促進に関する件」の大本営案(6月11日)には「対英米戦を賭するも辞せず」の部分があり、7月2日の御前会議で採択された「情勢の推移に伴う帝国国策要綱」(大本営決定は6月24日)では「対英米戦を辞せず」と強化され…

風化する太平洋戦争(1) ~歪められた日米開戦前の歴史~

過日12月8日は大東亜・太平洋戦争開戦の日であった。が、各紙社説はこのことをもはや取り上げもしない。 社説ではないが次のような記事を見掛けた。 《日本と米英の経済力の差について陸軍で報告がなされた。戦争となればわが方はもって2年、それ以上は耐え…

敗戦の日に蒸し返される自虐史観(3) ~軸足が日本にない人たち~

《戦時中の日本には、70万人と推定される朝鮮半島出身の徴用工のほかに、強制連行された約3万9000人の中国人労働者がいた。 過酷な労働を強いた日本企業に対して、中国人被害者が起こした裁判のうち、2000年に花岡事件の鹿島、09年に西松建設、…

敗戦の日に蒸し返される自虐史観(2) ~歴史リテラシー~

《日本を占領した当初、米国などが考えた対日賠償政策は、被害国の感情を反映して日本の経済力を最低レベルに抑える懲罰的な内容だった。 ところが、朝鮮戦争の発生と占領経費の増大が、米国の政策転換をもたらす。冷戦によって戦略的な価値が増した日本を経…

敗戦の日に蒸し返される自虐史観(1) ~戦争を煽った朝日~

8月15日の社説は、各紙とも大東亜・太平洋戦争について書いている。が、ネタ切れ感満載で、読むに値するものはほとんどなかった。自虐史観に呪縛され、陸続と明らかになる史実情報を受け入れる知力に欠けているせいであろう。 フーバー元米大統領は言ってい…

米朝会談不調の影を落とす3・1文大統領演説(2) ~有難迷惑だった(?)善政~

《列強時代、朝鮮が清国の属国であったことは各国ともに承知していたことで、朝鮮外交をめぐる交渉は李朝朝廷ではなく清国を通して行われていた。朝鮮の国事や人事までも、清政府が決めていた》(黄文雄『韓国は日本人がつくった』(WAC)、p. 46) この状況…

戦前の歴史認識を改める時(4) ~日韓併合は義侠論?~

《水旱(すいかん)凶歉(きょうけん)の多きは、これ人事の修まらざるに由る。これを修むればすなわち防虞(ぼうぐ)の方無きにあらざるなり。たとい合同せざるもまた、餓莩(がひょう=餓死者)野に横たわる有らば、よろしく交々(こもごも)これを救うは…

戦前の歴史認識を改める時(3) ~樽井藤吉の幼稚な論理~

《わが日本国、合同をもって不利となすものあり。 その1にいわく、朝鮮は貧弱の国なり、今あえてこれと合するは、これ富人の貧者と財産を共にするの理なり。 その2にいわく、朝鮮は文化は洽(あまね)からず、百工興らず、智見また進まず、今これと合するは…

戦前の歴史認識を改める時(2) ~伊藤博文の常識的判断~

《日韓併合後の補充金と称する日本政府の持ち出し(日本人の税金)は、1911年が1235万円で、それ以前の平均2500万円の半額に減った。これは残りの半分を日本政府発行の公債と、日本からの借入金で補っており、毎年日本から約2000万円前後を調達するという状…