保守論客の独り言

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見直しが進む戦勝国史観について

東京裁判で唯一「日本人被告全員無罪」を主張したインドのラダ・ビノード・パール判事は次のように言った。

《時が、熱狂と、偏見をやわらげた暁には、また理性が、虚偽からその仮面を剥ぎとった暁には、そのときこそ、正義の女神はその秤(はかり)を平衡に保ちながら過去の賞罰の多くに、そのところを変えることを要求するであろう》(『共同研究 パール判決書』(東京裁判刊行会)、p. 737

 大東亜・太平洋戦争から74年余りが過ぎ、<熱狂>は冷め<偏見>も弱まったことで歴史認識が様変わりしつつある。

 保守派積極行動主義者として知られるフィリス・シュラフリー女史は次のように述べたという。

 「われわれはなぜ中国共産党政府の軍事台頭に苦しまなければならないのか。われわれはなぜ北朝鮮の核に苦しまなければいけないのか。

こうした共産主義国家がアジアに誕生したのも、もとはといえば民主党のF・D・ルーズベルト大統領がヤルタ会談スターリンと秘密協定を結んだことに端を発している。

よってソ連と組んだルーズベルトの責任を追及することがアメリカの対アジア外交を立て直す上で必要なのだ」(江崎道朗「戦勝国史観見直しの好機逃すな」:227日付産經新聞「正論」)

 こんなことはとうの昔に総括されている。

《遂に日本はシナ本土からも、満洲及び朝鮮からも亦駆逐された。これらの地域から日本を駆逐した結果は、まさに懸命にして現実的な人びとが、終始われわれを警告したとおりのこととなった。今日われわれは、殆んど半世紀に亙って朝鮮及び満洲方面で日本が直面し且つ担って来た問題と責任を引継いだのである》(ジョージ・ケナンアメリカ外交50年』(岩波現代叢書)、p.63)

 が、米国は決して一枚岩ではないし、また、自分たちの失策を素直に受け止めるだけの度量もなく、アジアにおける共産主義の拡大を警戒することを怠った。

《ロシアは92年、ソ連コミンテルンKGBによる対外「秘密」工作に関する機密文書(いわゆる「リッツキドニー文書」)の公開を始めた。

 この公開によってソ連が戦前から戦後、世界各国に工作員を送り込み、それぞれの国の政治に大きな影響を与えていたことが再確認されつつある。

 アメリカ国防総省国家安全保障局(NSA)も95年、戦前から戦中にかけて在米のソ連のスパイとソ連本国との秘密通信を傍受し、それを解読した「ヴェノナ文書」を公開した。その結果、戦前、日本を経済的に追い詰めたルーズベルト政権内部にソ連のスパイ、工作員が多数潜り込み、対外政策に大きな影響を与えていたことが判明しつつある》(江崎、同)

 世界で戦勝国史観の見直しが進められている。「バスに乗り遅れるな!」