保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

原爆投下について(3) ~終戦が遅れていたら3発目の原爆が落されていた~

《日本の軍部が降伏するかどうか確信のなかったアメリカ軍は、8月6日と9日、完成したばかりの2個の原子爆弾を広島と長崎に投下した。立ちのぼる巨大なきのこ雲の中で20万人近い人命が一瞬にして地上から消え去り、核時代の恐怖の到来を告げたのだった。

 今となっては、広島に落とされた一発目の原爆は、日本の軍部に降伏止むなしと思わせるために必要であり、また大戦後の世界に核戦争の恐ろしさを認識させる上に貢献したとの議論も成り立たぬでもない。ただ長崎に投下された2発目の原爆に関しては、この種の正当化は絶対に成り立たない》(E.O.ライシャワーライシャワーの日本史』(講談社学術文庫)國弘正雄訳、pp. 261-262)

 原爆使用の目的が、戦争を早期に集結させ、多くの人命が失われるのを防ぐためだけなら2発目は不要であった。2発目を投じたということは別の目的があったと考えざるを得ないのである。

 広島と長崎とで原爆が2度使用されたのは、2種類の原爆が開発されたためで、「ウラン原爆」、「プルトニウム原爆」の威力をそれぞれ確かめようとしたのではないか。

 空襲の被害がない都市が原爆投下の候補地に挙げられ、これらの都市への空襲が禁止されたことも効果を正確にみようとしたためであろうと推察される。

 さらに戦後、ソ連に対する立場を優位にするために原爆を使用したという説も有力である。

Another theory for both atomic bombs is that while they were not necessarily needed to defeat Japan, U.S. leaders wanted to show the Soviet Union what their weapons of mass destruction could do. … At that time, the U.S. was the only nation with atomic weapons, and American leaders wanted their new rivals to know it.

The bombs would have had the additional benefit of ending the war as quickly as possible, and before the Soviets were able to make their move against Japan and grab fresh territory.

Newsweek:Did the U.S. Need to Drop a Second Atomic Bomb on Japan? BY DAVID BRENNAN ON 8/9/20 AT 12:01 AM EDT

(両原子爆弾に対するもう1つの説は、それらは日本を打ち負かすために必ずしも必要だというわけではなかったのだけれども、米国の指導者たちが、自国の大量破壊兵器がどれだけのことが出来るのかをソ連に見せたかったというものである…当時は合衆国が唯一の核保有国で、米国指導者たちは新たなライバルにそのことを分からせたかった。

原爆には、できる限り早く、そしてソ連が日本に侵攻し新たな領土を手にする前に、戦争を終わらせる付加的利益もあっただろう)

 が、米国は、日本が降伏しない場合、さらなる原爆投下を考えていたという恐ろしい話もある。

《米国は、7月にニューメキシコ州の砂漠で原子爆弾の爆発実験を行った後、8月に日本の広島と長崎に原爆を投下した。だが、長崎への投下から日本が降伏するまでの6日間、米国はこれで終わりとはまだ考えていなかった。次の原爆投下は間近に迫っていた。

(中略)

 第二次世界大戦末期、米国はできる限りの原子爆弾を製造していた。そして日本が降伏する直前まで、第3の原爆を落とす準備に入ろうとしていた。1945年8月15日に日本が降伏するわずか数時間前、米国時間では14日、英国の外交官を前にトルーマン大統領は沈痛な面持ちで、第3の原爆投下を命令する以外に「選択肢はない」と漏らしていた。戦争があと数日続いていたら、第3、そして第4、第5の原爆投下の可能性は著しく高まっていた》(「米国は第3の原爆投下を計画していた」:NATIONAL GEOGRAPHIC 8/9(日) 7:20配信) 【了】