保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

休校継続と学ぶ権利(1) ~「学ぶ義務」が必要~

憲法が定める「教育を受ける権利」が、新型コロナウイルスによって脅かされている》(4月3日付朝日新聞社説)

 さすが憲法大好きの朝日新聞である。冗談(joke)で言っているのか本気で言っているのか分からないが、新型コロナウイルスによって<基本的人権>が脅かされているなどと言っても詮無き事である。

 扨(さ)て、日本国憲法は「権利」と表裏一体であるはずの「義務」が書かれていないとしばしば言われる。教育に関しても然(しか)りである。「教育を受ける権利」はあっても「教育を受ける義務」はない。

 が、人間は教育されなければ責任ある大人にはなれない。また、一人前の日本人になるためには日本的な教育を受けることが欠かせない。謂(い)わば、日本の文化や歴史を学び、礼儀作法を身に付けなければ、「真の日本人」とは言えないと思うのである。

 こう言えば、「真の日本人」とは何かと絡んでくる人がいるだろう。日本の「国益」を最優先に考えることが出来る人間ということにでもなろうか。

 では、「国益」とは何か。目先の損得勘定も「国益」ではあろうが、私はもっと長い目で見た利害得失を「国益」と考えたい、云々(うんぬん)。

 日本が間接民主制を採用している限り、有権者は「国益」を考えることが出来る人間でなければならない。そのために必要な知識はしっかり身に付けてもらう必要がある。つまり、日本国の一員となるにあたって、「教育を受ける義務」があるということである。

 「権利」であれば、それを行使しないということも可能である。だから、小中学校に通わなくても中学を卒業することが出来るのが今の制度である。が、必要最低限の勉強をしておかなければ、選挙で然(しか)るべき1票を投じることは出来ないであろう。国語力も要るし、歴史も知らなければならない。英語を通して海外のことも理解すべきである。

《政府の専門家会議は、「子どもは感染拡大の役割をほとんど果たしていない」とみている。知見を冷静に受け止め、感染者の少ない地域では授業再開に向けた施策を進めてもらいたい》(同)

 が、これは朝日お得意の都合の良い部分を切り取った情報である。そもそも学校を休校にしてきたから子供の感染が拡大していないのであって、子供が感染しないわけではない。ウイルスの伝搬者となるという問題もある。したがって、安易な授業再開によって集団感染を引き起こすかもしれないのである。

《提言は「現時点での知見では、子どもは感染拡大の役割をほとんど果たしていないと考えられる」とも指摘。新たな知見が得られた場合は対応を見直すとしている。子どもの感染は学校ではなく、家庭内で起きているとの認識も示した》(東京新聞2020年4月2日 07時11分)

 つまり、これは現時点での話でしかない。現時点が大丈夫だから、学校再開してもよいではないかというのは軽率に過ぎる。【続】