保守論客の独り言

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ロックダウンと入国制限緩和

新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからぬ中、全国知事会は20日、オンラインでコロナ対策本部の会合を行い、感染力の強いデルタ株に対して緊急事態宣言では効果が見いだせないと指摘、人流抑制の時限的措置として「ロックダウン(都市封鎖)」のような方策の検討を国に要求した》(東京新聞2021年8月20日19時46分)

 <人流>という言葉は頂けないがそれは措こう。<ロックダウン>には法的強制力が必要となる。が、日本国憲法には、緊急の事態において国に強制力を持たせる条項がない。つまり、現憲法下では、人権が大幅に制限される<ロックダウン>をやろうにもやれないのである。

 それどころか国は真剣に新型コロナ対策に取り組む意志があるかどうか疑わしい。

《政府は18日、新型コロナウイルスの水際対策として実施している入国制限について、1日当たり2000人程度から3500人程度に緩和したことを明らかにした。緩和は16日付》(JIJI.COM 2021年08月18日18時47分)

 新型コロナの変異種が猛威を振るい、現在のデルタ株の次にラムダ株が登場する中で、水際対策を緩めるのは、日本国民の健康よりも政治的思惑を優先する「悪政」だと思われる。が、<政治的思惑>を優先し<ザル入国>を続けたのが現政権であるのだから、今回の措置も然(さ)も有りなんということである。

《感染が拡大している東南アジアなどからの日本人帰国者が増加傾向にあることを踏まえたもので、検疫や隔離の体制を整えた上で対応すると説明している》(同)

 が、<検疫や隔離の体制を整えた上で対応する>という話はどこまで信じられるのであろうか。

 航空・旅行アナリストで帝京大学非常勤講師の鳥海高太朗氏は次のように指摘する。

《昨年4月以降、羽田空港、成田空港、関西国際空港などにおけるPCR検査は鼻の粘膜で採取する方式を採用。海外からの入国者・再入国者・帰国者については、PCR検査の結果が出るまでの間は国が確保した宿泊施設で1~2泊の待機が必要だった。入国者のほとんどが宿泊になったことで、待機や公共交通機関の不使用などについての説明をしっかり受けたことに加えて、日本国内も自粛モードになっていたことで、しっかり守られていた。

 ところが、同8月にPCR検査の検体採取が唾液による方式に変更され、結果が出るまでの時間が大幅短縮された。海外からの入国者・再入国者・帰国者は飛行機の到着から数時間(早ければ2時間以内)で到着ロビーに出ることが可能となった。これが「入国後14日間は検疫所長が指定する場所での待機」「公共交通機関を使わない」という国からの要請が緩むきっかけとなってしまった。

 多くの到着客は公共交通機関を使わずに迎えの乗用車、レンタカー、ハイヤーなどを利用していたものの、一部は要請を無視。到着ロビーや鉄道駅などで公共交通機関の利用制限を呼びかけるポスターを無視するかのように、リムジンバスや鉄道などを利用して自宅などに戻っている光景が成田空港などで見られるなど、まさにザル状態になっていた。チェック機能などは存在していなかった》(東洋経済2021/01/13 18:00