保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

休校継続と学ぶ権利(2) ~混乱する教育現場~

《この先、休校がさらに長引いたとき、何より心配なのは学びへの影響だ。誰もが思い浮かべるのは、動画やデジタル教材を使った自宅学習の導入だろう。家庭の経済状態などによる格差を広げかねない面もあって注意が必要だが、急場をしのぐには有効な手立てといえる》(4月3日付朝日新聞社説)

 <家庭の経済状態などによる格差>も考えれば、PCやタブレットを使った家庭学習は難しい。最も導入しやすいのはかつての「教育テレビ」、現在の「Eテレ」の番組ではないだろうか。

 緊急時であるので、NHKも学校を通じて教材や資料の配布に全面的に取り組んでもらえればと思う。また、対象が全国の小中高生となるのであるから、休校措置期間の特別番組も含めて、必要十分な番組内容の改変も期待したい。

《家にこもることに伴うストレスや運動不足は、心身の不調を招く。保護者も余裕を失うなか、虐待や栄養不足の心配が高まっている》(同)

 休校は、「家に籠(こも)れ」ということではない。教室のような狭い所に密集することが問題なのであって、新型コロナウイルスは、習近平をもじった「集近閉」(密集・接近・密閉)に気を付ければ、外出できないわけではないし、運動できないわけでもない。

 後段部分はそのようなことも有り得るという危惧であろう。が、そういう配慮も必要だが、それよりもまず大多数の子供達が充実し満足のゆく家庭学習が行えるよう考えるべきである。

《「主体的・対話的で深い学び」にむけて、授業改革も求められている中で、これまでの休校によって生じた前年度の積み残しも教えなくてはならない。先生たちは頭を抱えているだろう》(4月3日付東京新聞社説)

 新型コロナが困り物であることは言うまでもないが、「主体的・対話的で深い学び」の方も同様に困り物である。この降って湧いたかのような学習指導要領のお達しによって、教育が空回りしてしまっている。

 これまでの学習を教師からの「一方通行的」と断じて、これを否定しようとしているのであるが、何かを得ようとすれば必ず何かを失うのであって、知識を「詰め込む」ことを嫌って「考える」ことに時間を掛け過ぎれば、考えるために必要な知識量が減ってしまって薄っぺらなことしか考えられなくなってしまうだろう。

 それよりも問題なのは現場の「混乱」である。急激な改革は混乱を招く。そのことを通達者は軽んじている。主体的に学ばせろ、対話的な授業を行えと命じれば、即(そく)主体的、対話的な学習へと切り替えられると思っているのだとすれば大間違いである。【了】