保守論客の独り言

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国連を利用する狡猾な中国(2) ~戦後親米保守を主導してきた読売の欺瞞~

世界保健機関(WHO)は2007年に就任した香港出身の事務局長の下で、総会への台湾のオブザーバー参加を認めなくなった。エチオピア出身の現事務局長は、新型コロナウイルス対応が中国寄りだと批判されている。

 国際民間航空機関(ICAO)も中国人がトップに就いた後、台湾の総会参加を認めていない。

 感染症対策や航空の安全はすべての国と地域が情報を共有してこそ効果を上げられる。台湾は国連に加盟していないが、議論の場から排除すべきではない。

 国際電気通信連合(ITU)では、中国出身のトップが、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」との連携を主張している。公正性を欠くのではないか》(3月14日付読売新聞社説)

 そもそもUnited Nationsは「公正」な機関ではない。日本は昨年、中国に抜かれはしたが、ずっと米国に次いで世界で2番目に多い分担金を負担してきた。その額たるや、米国を除く常任理事国(英仏露中)4ヵ国の合算したものよりも多いほどだった。が、日本はいまだ「敵国」なので常任理事国にはなれず、発言権もなかったのである。

常任理事国とは、会社でいえば、代表権を持った取締役の集まりだから、日本は意思決定の場からは完全に蚊帳の外に置かれているのも同然だ。この際、日本は、「代表なくして課税なし」というイギリスやアメリカ独立の際のスローガンを声高に唱え、国連に対して訴え続けるべきなのである。常任理事国ではないのだから、分担金も、常任理事国の中で一番分担金が少ない国よりは一ドルだけ少なく納めさせてもらう、と主張すべきである》(渡部昇一『日本を変えよう』(致知出版社)、p. 250)

《国連は原則として加盟193か国が平等な権利を持つ。経済力や人口にかかわらず、1国が1票の投票権を有する》(同、読売社説)

 常任理事国(P5)が実権を握っているのは自明であり、加盟国が平等な権利を持つなどというのは現実逃避の「夢見る夢子ちゃん」でしかない。

《日本は、日米同盟とともに国連中心の国際協調主義を外交の基軸としてきた。国連での貢献を高められる人材の育成を続けていかなければならない》(同)

 これも「欺瞞(ぎまん)」である。要は、得手勝手な常任理事国の言いなりになってきただけである。それを<国連中心の国際協調主義>などと言ってごまかすのは破廉恥(はれんち)である。

 さすが戦後日本の親米保守を主導してきた読売新聞だけのことはある。【続】