保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

尖閣諸島領有は風前の灯火(1) ~尖閣を狙うシナ~

尖閣周辺海域で、中国海警局の公船が連日徘徊(はいかい)し、23日には過去最長の101日連続となった。このうち領海侵入は計11日を数えている》(7月24日付産經新聞主張)

 このことを問題にしているのは大手紙では産經新聞だけである。

《5月には領海に侵入した中国公船が、付近で操業していた日本漁船を長時間追尾した。その後も日本漁船に接近し、海上保安庁の巡視船が漁船を守ってきた。中国側は尖閣を自国領と言い張り、「違法操業」の漁船を取り締まったと強弁した》(同)

 少し前までは、尖閣諸島の領有権問題は「棚上げ」ということであったが、今や悪びれる様子もなく<自国領>だと主張していることに注意が要る。

 現在は沖縄に米軍が駐留しているので強引に奪いに来ることはないとは思われるが、今後は様子見もかねて、尖閣諸島に上陸を試みるなどという事態も想定しておくべきであろう。

尖閣は日本固有の領土である。中国による領有権の主張は正当性がなく、中国海警局に尖閣海域で法執行する権利はない。直ちに尖閣海域から出ていくべきだ》(同)

 が、<尖閣は日本固有の領土>と言いながら、実効支配しているとはとても言い難い。シナを刺激しないようにと、日本の研究者が海洋調査などで尖閣諸島に上陸することすら政府は許可してこなかった。自衛隊を駐留させる、灯台を設置する、港を整備するなどという話が出ては、おそらくは親中派の横やりもあって立ち消えになってしまっている。

菅義偉官房長官は22日の会見で100日となった中国公船の居座りについて「極めて深刻に考えている。緊張感を持って関係省庁と連携し、警戒監視に万全を期す。毅然(きぜん)とした態度で対応したい」と述べた。外交ルートで抗議しているとも語った》(同)

 が、遺憾を表明し抗議するだけで問題が解決するのであれば苦労はしない。もし不意を突かれて上陸され旗を立てられでもしたらどうするつもりなのか。日米安保で矛を担う米国に排除を要請するのか。

アメリカ政府は沖縄県尖閣諸島について、日本の施政下にあり、アメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用範囲だという立場で一貫しています。

アメリカ政府のこうした立場は、トランプ政権になって以降も日米首脳会談などの場で確認されてきたほか、国務省は今月15日、NHKの取材に対し、尖閣諸島について「日本の施政下にあり、日本の施政下にある領域には日米安全保障条約第5条が適用されると認識している」とコメントしました。

また、エスパー国防長官は21日の講演で「中国の人民解放軍が、日本の施政下にある尖閣諸島の周辺水域に侵入する回数も時間も増えている」と述べ、中国の艦船が沖縄県尖閣諸島の周辺で活動を活発化させているという認識を示し、警戒感をあらわにしました》(「尖閣諸島沖合 中国海警局の船が100日連続航行 最長に」:NHK NEWS WEB 2020年7月22日18時57分)

 米中緊張関係のある今ならこれを口実にして少しシナを懲らしめようという動きになりそうな気もしないでもないが、米政権が交代するなどすれば、それも期待できなくなりかねない。

 つまり、将来的に、しかもそう遠くない未来に、在日米軍が沖縄から撤退するという事態にならないとも限らないのであるから、日本は「備えあれば憂いなし」で、自主防衛力を高めておくべきであろう。【続】