保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

尖閣諸島領有は風前の灯火(2) ~日本政府の本気度が試されている~

尖閣諸島周辺で神をも畏れぬ蛮行がまかり通っている。尖閣は日本固有の領土だが、領土問題など「ない」と叫び、どれだけ史実を並べたとて、領土の要は実効支配である◆全知全能の神なら別だが、本来、無から有は生じない。「ない」ものは「ない」。ところが1960年代末、尖閣周辺で海底資源が見つかるとチャイナは突然、「ある」と騒ぎ出した。途端にゼロが1になった。1は2にも、それ以上にもなる◆チャイナは領土問題が「ある」としたい。今後は漁船拿捕(だほ)も視野に入れ、施政権を世界に見せつけてくるだろう。「ある」となれば、領土の折半や共同利用、占領されてさえ、米国を含めた国際世論は口さえ出さない。日本には墓標や灯台の整備、米軍射爆撃場活用など、実効支配を明確に示す手はあるが……》(7月25日付八重山日報【金波銀波】)

 要は、政府が尖閣諸島を守る気があるのかどうかの「本気度」が試されているということである。記事の言う通り、<実効支配を明確に示す手>は幾つも有る。無いのは政府の気概である。

 が、今の安倍政権にしてこの為体(ていたらく)であるから、仮にもし安倍政権後に親中派政権でも誕生しようものなら、尖閣のみならず沖縄すらシナに差し出すなどということにもなりかねない。

 沖縄がシナの手に落ちるなどということにでもなれば、2007年、中国海軍高官がアメリカのキーティング司令官に持ち掛けた「米中による太平洋二分論」が現実味を帯びてくる。

《中国政府は沖縄県尖閣諸島について「中国固有の領土だ」と主張し、日本政府が国有化した2012年9月以降、周辺海域での公船の活動を一気に活発化させ、接続水域での航行だけでなく、日本の領海への侵入を繰り返しています。

日中関係が改善に向かう中で、去年6月には、習近平国家主席国賓としての日本訪問が合意されましたが、外交上の姿勢とは裏腹に尖閣諸島周辺での挑発的な動きを続けています》(NHK NEWS WEB 2020年7月22日18時57分)

 弱腰外交がシナに付け入る隙を与えたのである。

《中国外務省の報道官は「日本の漁船が中国の領海で違法に操業していたため、海域から出るよう求めた」と述べて、みずからの行動を正当化したうえで、逆に日本に対し「新たな争いごとを作り出さないよう求める」と一方的に主張しました。

(中略)

中国としては、尖閣諸島周辺での公船の活動を既成事実として積み重ねるとともに、パトロールや取締りと称した活動を繰り返して主権を行使しているかのようにアピールすることで、日本による実効支配を突き崩すねらいがあるものとみられます》(同)

 NHK NEWS WEBは客観的情報を提供しているだけだという体(てい)なのであろうが、他人事のような報道である。【続】