松井発言について内田樹(たつる)神戸女学院大名誉教授は言う。
「CNNに続いてフランスのメディアでも取り上げられました。世界標準に照らせば、ただちに政治生命を失うレベルの大都市の市長としてはありえない『愚行』だからです。大阪の有権者にはその基礎的事実を知って欲しいです」(内田樹ツイッター:午前9:15 · 2020年4月25日)
文化の異なる中で買い物における<世界標準>とは何なのだろうか。米国や仏国の価値観が<世界標準>だと思っているのだとしたら、それは欧米様様の「奴隷根性」でしかない。
買い物における男女の役割分担は日本においても何か統一のものがあるわけでもなかろうし、買い物に限らず東京と大阪では価値観が異なることも少なくない。価値観は地域によって千差万別であり、それを世界には何か<標準>なるものがあるかのように言うのは軽薄に過ぎる。
《あら、とうとうCNNのニュースになってしまいました。「日本が依然とし圧倒的なて男性優位社会であり、ジェンダーギャップ指数で世界149か国の111位にランクされている」ことの生きる見本として紹介されております》(内田樹ツイッター:午後6:08 · 2020年4月24日)
どうして女性が買い物をするという役割分担が<男性優位社会>になるのだろうか。買い物という仕事の価値を認めず、さも男性が女性に買い物という苦役を押し付けているかのように考えることこそが、欧米における差別的価値観の表れとも言えるのではないだろうか。
否、そもそも買い物とは多分に楽しいものであろう。さらに言えば、欧米と異なり、日本の家庭の多くにおいて、女性が財布の紐を握っている。だとすれば、買い物の楽しさは日本女性の特権と言えなくもない。
また、松井市長のこの発言によって、主婦は亭主に買い物を頼みやすくなったとも言えるだろう。
ツイッター上には次のような投稿も見られた。
《松井市長による、「男の方が買い物を早く済ませられるから、男性がスーパに行くべき」という旨の発言、世界中で報道されてるよね。
この失言がいかに差別的であるかわからない人が日本には多そうだけど、外国でまでニュースバリューがあるほどの前時代的なトンデモ発言だと、少しは伝わると良いな…》
投稿者は男女の役割分担は平等でなければならないと思っているのであろう。が、私はそのような平等こそが<前時代的>であるように思う。このような平等思想は、専門分化による高度化の妨げとなる。
日頃スーパーに行かない亭主に買い物に行かせてみれば分かることである。食材の目利きなどない。賞味期限も気にしない。値段もお構いなし。これでは自分で言った方がましということにならないだろうか。【了】