保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

胡散臭い改憲論について(13)/14

《2000年1月に憲法調査会が発足し、ようやく憲法論議が始まりました。しかし、これまでのように、不毛なイデオロギー論を通してのみ憲法を見つめるなら、憲法を論ずるせっかくの機会が十分に活かされるとは思えません。新しい時代に対応していくための改革のはずが、かえって時代に取り残され、問題に対処できない後退した憲法にされてしまう恐れさえあります》(櫻井よしこ憲法とはなにか』(小学館)、p. 9)

 詰まり、櫻井女史は、「現憲法は基本的に『良い憲法』である。が、〈新しい時代に対応していくための改革〉が必要だ」という認識なのだ。前文の<平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した>のは間違いではなく、変更する必要も感じないということなのだろう。

 解釈改憲によって条文が実態と乖離(かいり)してしまっている、第9条2項<陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない>にも踏み込まない。

憲法は言うまでもなく、その国の姿と在り方を決める根幹です》(同、p. 10)

 これは、歴史のない新興国家的発想である。日本のような長い歴史の国は、歴史の延長上に国家像は描かれるべきであって、日本国憲法のように、歴史を寸断し、出来もしない抽象観念の綺麗事を並べて〈国の姿と在り方〉とするわけにはいかない。【続】