保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

石破新首相の所信表明演説について(8)毎日社説その2

《個別の政策でも独自色を抑えざるを得なくなっているのではないだろうか。

 外交・安全保障政策では、持論のアジア版NATO北大西洋条約機構)の創設や、在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定の改定を封印した。

 アジア版NATOの棚上げは、近隣諸国や米国とのあつれき、実現性の薄さを考慮すれば当然だ》(同)

 つまり、アジア版NATOなどというものは、非現実的なものでしかなかったということを自ら認めているということだ。

《一方、日米地位協定の改定は、米軍基地負担が集中する沖縄の現状を考えれば、主張し続けていくべき問題である》(同)

 要は、地位協定の改定も、「言うは易く行うは難し」で、所信表明に盛り込めるような話ではなかったということに過ぎない。

《経済・財政政策は、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現など、岸田文雄内閣の路線を継承した内容となった。総裁選では格差是正につながる金融所得課税の強化も主張していたが、取り上げなかった。

 金融政策を巡っては当初、日銀の判断を尊重する姿勢を示していた。だが、就任後は一転して早期利上げに慎重な考えを表明するなど、言動が揺れている。金融市場の信頼は到底、得られない》(同)

 経済とは、国の舵取りを行う首相の言動を見込んで変動するものだが、首相就任の前後でこれほど言動がぶれてしまっては、市場は混乱するばかりである。

《かろうじて首相のカラーが出たのは、専任の大臣を置く「防災庁」の創設と、自衛官の処遇改善に向けた関係閣僚会議の設置、地方創生の交付金の倍増を表明したことなどである。これだけでは政策の方向性は見えない。

 目前の衆院選を意識して、物議をかもすような争点を極力、隠そうとしているようにも映る》(同)

 最近の政治は、公約を守り、実現に向けて努力しようとする精神に欠けている。だから、公約は選挙民を釣るだけの甘言にしかなっていない。

《首相は、本格的な国会論戦の場となる予算委員会を開かず、早期に衆院を解散することを決めた。まだ解散の権限を持たないにもかかわらず、就任前に衆院選の日程を表明したことは、憲政の常道に反する》(同)

 お行儀の悪い石破氏にとって〈憲政の常道〉など屁でもないだろう。

《石破氏は1993年、宮沢喜一内閣の不信任案に賛成して離党し、「政界の壊し屋」こと小沢一郎衆院議員と行動をともにした。このため、党内には、「党が苦しい時に出ていった裏切り者」との声が根強い。

 復党後の2009年には、麻生太郎内閣の農水相でありながら、与謝野馨財務相と官邸に乗り込み、麻生氏に退陣を迫った。寝首をかきに来た石破氏に、麻生氏らはいまも不信感を募らせている。

(中略)

 安倍内閣の幹事長時代、「派閥政治を解消する」と言いながら、15年には自らの派閥を立ち上げて、党内であきれられた》(「石破氏、自民党内でこれだけ嫌われるワケ」:Zakzak 2020.9/2 21:25)