保守論客の独り言

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石破新首相の所信表明演説について(13)日経社説その2

《同志国のうち真っ先に韓国を挙げ、日韓の緊密な連携が「双方の利益にとって極めて重要だ」と従来より踏み込んだ》(2024年10月5日付日本経済新聞社説)

 果たして韓国は〈同志国〉なのか。韓国がやっていることからすれば、むしろ「敵国」ではないか。自衛隊機へのレーダー照射問題しかり、日韓基本条約を無視した徴用工問題しかり、戦略物資の北朝鮮友好国への横流し問題しかりである。だとすれば、連携よりも、距離を置くのが当然であろう。にもかかわらず、話が逆なのだ。石破首相のこの主張は、反日的と言わざるを得ない。

日本人学校男児刺殺事件で中国に責任ある行動を強く求めた。同時に、あらゆるレベルでの意思疎通を重ねて「建設的かつ安定的な関係」の構築へ日中双方が努力すべきだとした。中国の軍事圧力への抑止力を強めつつ、対話も重視する方向性は評価できる》(同)

 対話重視と言えば聞こえがよいが、要は、問題があっても何もしないと言っているに等しい。そもそも男児死殺事件は、国家の問題ではないのだから、チュウゴクに責任ある行動を求めるのは筋違いだ。日本がやるべきことは、チュウゴクへの渡航危険レベルを引き上げ、渡航注意を喚起することであり、在留邦人企業の帰国促進といったことでなければならないはずだ。

日米安保条約の「非対称性」を改める見直しや、アジア版の北大西洋条約機構NATO)構想といった持論には触れなかった。

首相就任後に現実を見据えた政策に軌道修正する判断は妥当だ》(同)

 「所信表明」とは、自らが信じるところを述べることであるのに、それをやめてしまっては、所信表明にならないではないか。これまで自分が言ってきたことは、非現実的であったと認めたということなのか。軌道修正しただけで、どうして〈妥当〉などと言えるのだろうか。

《ただ安全運転に切り替えたのか、交付金の倍増目標を据えた地方創生や防災、沖縄などは思い入れがにじむものの、全般的に政権の独自色がかすみ、何を本当にやりたいのかがわかりにくくなった》(同)

 持論を実現することから逃げ、無責任にも世間の期待を裏切って、何が首相なのか。

《国家課題の少子化対策やエネルギー政策も差し障りない表現にとどまった。持続可能な防衛力や社会保障の財源確保へ歳出削減に努力し、そのうえで国民に負担を求める可能性があることを率直に認めるのもリーダーの責務だ》(同)

 これは日経の持論であろうが、間違っている。歳出削減よりも先にあるべきは、「経済成長」である。経済が成長し、税収が増えれば、多くの問題は解決する。経済成長を第一に考えない緊縮財政は国家を衰退させるだけだ。