保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

石破新首相の所信表明演説について(2)大甘な対韓中露政策

《現下の戦略環境の下、日韓が緊密に連携していくことは、双方の利益にとって極めて重要です。日韓間には難しい問題もありますが、来年に国交正常化60周年を迎えることも見据え、岸田首相が尹大統領との間で築かれた信頼関係を礎に、日韓両国の協力をさらに堅固で幅広いものとしていきます。また、日米韓で一層緊密に連携していきます》

 要は、韓国側の非礼は水に流すということなのか。そこをはっきりすべきだ。自衛隊機への韓国海軍によるレーダー照射問題、戦略物資横流し問題、募集工問題、東京五輪での嫌がらせ、日本の水産物への悪評の垂れ流し等々、有耶無耶(うやむや)にせず、しっかりけじめをつけるべきではないのか。

《中国に対しては、「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、あらゆるレベルでの意思疎通を重ねてまいります。一方、中国は、東シナ海南シナ海における力による一方的な現状変更の試みを、日々、強化しております。先月には、幼い日本人の子供が暴漢に襲われ、尊い命を失うという痛ましい事件が起きました。これは断じて看過しがたいことであります。我が国として主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含め対話を行い、共通の諸課題については協力する、「建設的かつ安定的な関係」を日中双方の努力で構築していきます。日中韓の枠組みも前進させます》

 〈主張すべきは主張し〉と言うが、あまり主張していないところをみると、恐らくチュウゴクを刺激しないようにすることが最優先にされているのであろう。チュウゴク在留邦人がいきなりスパイ容疑で逮捕されたり、尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域EEZ)内に中国が設置したブイは、昨年7月の発見から1年以上が経っても放置されたままであったり、中国海軍の測量艦が8月、鹿児島沖領海に侵入したり、ある意味、チュウゴクは、やりたい放題、し放題になってしまっている。このような状況の中で、対話をおこなっても、日本側が譲歩するだけのことである。

《対ロ制裁、対ウクライナ支援は今後とも強力に推し進めます。日ロ関係は厳しい状況にありますが、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します》

 今までどのような〈対ロ制裁〉を行ってきたのか。経産省HPにその詳細が挙げられているが、要は他国と歩調を合わせたというだけのことである。日本が独自に、本気で、ロシアに制裁を加えているわけではない。言ってみれば、形だけの話である。また、〈領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持〉と言うが、要は、これまで通りの方針に変更はなく、領土回復に向け、特に踏み込むつもりもないということでしかない。【続】