保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

8月15日「終戦記念日」社説を読む(7)朝日社説その7

《吾々のグルーブの目的任務は、特にゾルゲから聞いた訳ではありませぬが、私の理解するところでは広義にはコミンテルンの目指す世界共産主義革命遂行の為、日本に於ける革命情勢の進展と、之に対する反革命の勢力関係の現実を正確に把握し得る種類の情報、並(ならび)に之に関する正確なる意見をモスコーに諜報(ちょうほう)することにあり、狭義には世界共産主義革命遂行上当面最も重要にして其の支柱たるソ聯(れん)を日本帝国主義より防衛する為、日本の国内情勢殊(こと)に政治経済外交軍事等の諸情勢を正確且(か)つ迅速に報道し、且つ意見を申(もうし)送つてソ聯防衛の資料たらしめるに在るのであります。

従つて此の目的の為には凡(あら)ゆる国家の秘密等をも探知しなければならないのでありまして、政治外交等に関する国家の重大な秘密を探り出すことは最も重要な任務であり、軍事上経済上の秘密の探知も亦(また)之に劣らず重要な任務として課せられて居たものであります》(『現代史資料(2) ゾルゲ事件(2)』(みすず書房):5 検事訊問調書:第22回訊問調書、p. 216)

と言う尾崎秀実は、まさしくコミンテルンのスパイであった。

帝国主義政策の限り無き悪循環(戦争から世界の分割更に新なる戦争から再分割といふ)を断ち切る道は国内に於ける搾取被搾取の関係、国外に於(おい)ても同様の関係を清算した新なる世界的な体制を確立すること以外にはありませぬ。世界資本主義に代る共産主義世界新秩序が求められる唯一の帰結でなければなりません。両(しか)も之は必ず現実し来るものと確信したのであります。帝国主義諸国家の自己否定に終る如き極度の消耗戦国内新興階級の抗戦を通じての勢力増大、被圧迫民族国家群の解放、ソ聯の地位の増大等は正に其の要因であります。

(2)以上の如き予想に基づいた現実の形態と更に之に対処する方式として私がひとり心に措いた処は次の如きものでありました。

第1に日本は独伊と提携するであらうこと

第2に日本は結局英米と相闘ふに到るであらうこと

第3に最後に我々はソ聯の力を籍(か)り、先(ま)づ支那社会主義国家への転換を図り之との関連に於て日本自体の社会主義国家への転換を図るべきものであらうことでありました》(同、第27回訊問調書、p. 286)

 ここに見えるのは、資本主義国同士を噛み合わさせ、疲弊させて漁夫の利を狙う、所謂(いわゆる)「敗戦革命論」である。