保守論客の独り言

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8月15日「終戦記念日」社説を読む(6)朝日社説その6

尾崎秀実は、逮捕後の訊問(じんもん)に、次のように答えている。

《日本は終局に於て英米との全面的衝突に立到(たちいた)ることは不可避であらうことを夙(つと)に予想し得たのであります》(『現代史資料(2) ゾルゲ事件(2)』(みすず書房):5 検事訊問調書:第20回訊問調書、p. 203)

 日本と英米が全面衝突するのが不可避であるというよりも、世界に共産主義革命を起こすために、何としても日本と英米を前面衝突させようという魂胆である。

《勿論日本は其の際枢軸(すうじく)側の一員として立つことも既定の事実でありました。此の場合日本の勝敗は単に日本対英米の勝敗によつて決するのではなく、枢軸全体として決せられることとなるであらうと思ひます。日本は南方への進撃に於(おい)ては必ず英米の軍事勢力を一応打破し得るでありませうが、其の後の持久戦に於ては日本の本来的な経済の弱さと、支那事変による消耗が軈(やが)て致命的なものとなって現はれて来るであらうと想像したのであります》(同)

 つまり、日本を支那事変で消耗させた上で英米と持久戦に持ち込んで破滅させ、共産主義国家として生まれ変わらせようと企(たくら)んでいるのである。

《而(しか)も斯(かか)る場合に於て日本社会を破局から救って方向転換乃至(ないし)原体制的再建を行ふ力は、日本の支配階級には残されて居らないと確信してゐるのであります。結局に於て身を持つて苦難に当つた大衆自体が自らの手によつて民族国家の再建を企図しなければならないであらうと思ひます。

並(ならび)に於(おい)て私の大雑把な対処方式を述べますと、日本は其の破局によつて不必要な犠牲を払はされることなく立ち直るためにも、又英米から一時的に圧倒せられないためにも、行くべき唯一の方向はソ聯(れん)と提携し、之が援助を受けて日本社会経済の根本的立て直しを行ひ、社会主義国家としての日本を確乎(かっこ)として築き上げることでなければならないのであります。

日本自体のプロレタリアートの政治的力量も経験も残念乍(なが)ら浅く、而も充分な自らの党的組織を持たないことのためにソ聯の力に待つ点は極めて多いと考へられるのであります。英米帝国主義との敵対関係の中で日本が斯る転換を遂げる為(た)めには、特にソ聯の援助を必要とするでありませうが、更に中国共産党が完全なヘゲモニーを握った上での支那と、資本主義機構を脱却した日本とソ聯との三者が、綿密な提携を遂げることが理想的な形と思はれます》(同)