保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

自民党総裁選を巡って(2) ~マスコミの古臭い政治観~

《政策を決める首相の資質や政治手法自体に疑問符がつけられている。根拠なき楽観、異論に耳を貸さない独善的態度、専門知の軽視、国民の心に届く言葉の欠如……》(8月27日付朝日新聞社説)

 自分のことを棚に上げて、菅義偉首相を<独善的態度>などとよくも言えたものだ。こういう不道徳は社会を腐らせるだけだ。

《プロメテウスが或るとき人間どもを作って、2つの背負袋を彼らにぶら下げさせましたが、1つの袋は他人の悪の入っているもので、他の1つは自分の悪の入っているものでした。そうして他人の悪の入っている袋は前におきましたが、もう1つの方は後ろに懸けさせました。こういうところから、人間どもには他人の悪は遠くからでも見えるが、しかし自分のは目前のものでも見えないということになったのです》(『イソップ寓話集』(岩波文庫)山本光雄訳:303 2つの背負い袋、p. 232)

東京都議選横浜市長選での自民党の敗北は、そんな首相に対する有権者の不信の表れに違いない。

 再選をめざすなら、首相はこの厳しい評価に正面から向き合わねばならない。自らを省み、改めるべき点は率直に認めることが不可欠だ。岸田氏も首相に挑む以上、この間の対策をどう評価し、自分ならどうするか、明確に語る必要がある》(同、朝日社説)

 国政と地方選挙を結び付けて語るのは止めるべきはないか。このような考え方は、地方政治の否定にも繋がるものである。地方選挙は、首相の人気が高ければ与党が勝ち、低ければ与党が負けるというようなものではない。横浜市長選は、新市長の人柄や資質が問われたわけではなく、首相の人気が低かったから野党候補が勝ったかのように言うのはマスコミ特有の古臭い政治観ではないか。

《菅政権の1年で問われるべきは、コロナ対応だけではない。学問の自由にもかかわる日本学術会議の会員候補6人の任命拒否は、いまだ撤回されていない。安倍氏側からの前夜祭への費用補填(ほてん)が明らかになった「桜を見る会」をめぐる問題や、自ら命を絶った元近畿財務局職員の遺族が公文書改ざんの真相解明を求めている森友問題など、前政権のウミを取り除こうとしない姿勢は、政治への信頼回復を阻んでいる》(同)

 これも朝日の駄目さ加減を象徴した言い分である。日本学術会議は政府機関であるから本来首相が任命拒否することに問題はない。政府に抱えてもらいながら任命を拒否するなとは「甘え」である。

 「森友問題」を巡る朝日の報道姿勢も醜悪である。朝日は遠巻きからこの問題を難じるだけで、本丸に切り込もうとはしない。切り込めば、都合の悪いことが出て来るからであろう。例えば、当時の民進党議員が「カチコミ」を掛けて直ぐ、近畿財務局職員・赤木俊夫氏は自殺している。

f:id:ikeuchild:20210703182440p:plain【続】