保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

皇位継承等の有識者会議について(1) ~有識者会議という「茶番」~

《安定的な皇位継承策などを議論する政府の有識者会議が初会合を開いた》(3月24日付毎日新聞社説)

 <有識者>とはどのような人のことを言うのだろうか。皇室問題を扱うのに皇室伝統の専門家が一人も入っていない有識者会議。こんな「茶番」はもううんざりだ。

 前回、退位問題を扱った時もそうだった。先に退位という結論ありきの有識者会議を開き、皇室典範に基づいて摂政を置くべしという意見は無視し、皇室典範に背(そむ)くも特例として退位を認めてしまった。

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 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/koumu_keigen/dai6/shiryo1.pdf

 伝統文化に関わる問題をこのように軽々しく扱って恥じない人達は、「日本列島人」ではあっても「日本国民」ではない。

《2017年に成立した退位特例法の国会付帯決議は、皇位継承の議論を退位後速やかに行うよう政府に求めている》(同)

 付帯決議の文面は次の通りである。

「政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること」

 私はこの付帯決議は非常に軽率なものだと思う。<安定的な皇位継承>を考えるというのであれば、何より「時間」が必要である。安定的な皇位継承法について検討し<速やか>に報告せよなどと国会が要求するのは傲慢の誹(そし)りを免(まぬか)れない。

《大きな論点は、現在は男系男子に限られている継承資格を、女系・女性に広げるかどうかだ。

 2005年に皇位継承策を議論した小泉純一郎政権の有識者会議は、女性天皇女系天皇を容認する報告書を提出した。その後、秋篠宮紀子さまの懐妊が判明し、皇室典範改正案の国会提出が見送られた経緯がある》(3月26日付信濃毎日新聞社説)

 こんな風に表層的な議論だけで、日本文化の背骨とも言うべき皇室伝統の変更を迫ろうとする軽薄横柄な人達がいるのが問題なのだ。否、<女系天皇>容認に至っては、変更というよりも「破壊」と言った方が適切だろう。

 これまで<女系天皇>がいなかったのにはそれなりの理由がある、そう考えるのが遠望深慮というものであろう。例えば、<女系天皇>を認めてしまっては、男系で血統を辿れなくなってしまう。極端なことを言えば、権力者が力付くで自分の息子を皇女と結婚させ、皇室を乗っ取ろうなどと良からぬことを企まないとも限らない。【続】