保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

改正少年法成立について(2) ~罪に応じた罰~

《もう一つの大きな変更点は、起訴された際の氏名の扱いだ。

 過去に罪を犯したことが明らかになれば、就職や進学の支障になるとして、これまでは実名や写真の報道が禁じられていたが、改正法では可能になる》(5月22日付毎日新聞社説)

 <就職や進学の支障になる>という理由で<実名や写真の報道が禁じられ>るという人道的配慮には疑問を感じる。が、

《実名や写真がインターネット上で拡散すれば、いつまでも残りかねない。刑事裁判で無罪になる可能性も考慮する必要がある》(同)

といった問題には配慮すべきところもあるだろう。

《厳罰化の狙いには犯罪の抑止効果も挙げられるが、刑法犯で摘発される少年は少子化などで年々減っている。2009年に約10万8千人だったのが、19年は約2万6千人にとどまった》(5月22日付高知新聞社説)

 刑法犯で摘発される少年が年々減っているからといって、厳罰化の必要性がなくなるわけではない。単に少年犯罪の件数を減らすことが厳罰化の目的ではない。罪を犯せばそれ相応の罰を受ける。この当たり前のことを確認すべきだということに過ぎない。

《むろん厳罰を求める被害者らの思いも分かる。加害者が真に更生するためには、自らの犯した罪と正面から向き合う必要もある。それらを考慮した上で、18、19歳の立ち直りや社会復帰を重視してきた少年法の理念が後退しないよう、慎重な法の運用が欠かせない》(同)

 高知社説子は<被害者らの思いも分かる>と言うが、お為(ため)ごかしにしか思われない。被害者らの感情は捨て置かれ、加害者の<更生>だけが優先されるのではあまりにも理不尽である。

 加害者が罪に向き合うかどうかなど被害者らにとって知ったことではない。現代社会において「復讐」というものが許されないのなら、せめて罪に応じた罰を加害者に課して欲しいと願うのが人の情というものではないか。少年だからといって刑が軽くなってしまうようでは納得がいくはずもない。

《事件を起こした18、19歳を「特定少年」と位置づけ、手続きや処遇を大人に近づける改正少年法が成立した。

(中略)

 今回の改正は、16年に選挙権年齢が18歳に引き下げられ、来年4月には民法の成年年齢も18歳となることに伴うものだ。

 当初、少年法の適用年齢を18歳未満とすることも検討されたが、法案提出前の与党や政府内の議論で見送られた》(5月23日付朝日新聞社説)

 が、成人した「特定少年」って一体どのような存在なのだろうか。【了】