保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

改正少年法成立について(1) ~18、19歳は成人か少年か~

《弁護士や法学者ら専門家の反対表明が相次ぐ中、改定少年法がきのう成立した。

 事件を起こした18、19歳の厳罰化が柱だ。「特定少年」と位置づけて、家庭裁判所が検察官に逆送し20歳以上と同様の刑事手続きを取る事件を強盗などにも拡大。起訴後には実名報道を解禁する。

 罪を犯す恐れがある「虞犯(ぐはん)」に対応する制度の対象からも外す。刑の執行後に少年に認められている、国家資格取得制限の緩和措置も原則適用しない》(5月22日付信濃毎日新聞社説)

 <18、19歳の厳罰化>などというのは言い掛かりも良い所である。来年4月には民法成人年齢が18歳に引き下げされるため、これに合わせて18,19歳を少年法の適用から外すだけの話である。

少年法は、刑罰ではなく、保護観察といった「保護処分」を原則に、立ち直りを重視してきた。その理念からは大きく逸脱する。

 来年4月に民法上の成人年齢が18歳に引き下げられることが背景にある。高校生か大学生、社会人になったばかりの若者たちだ。

 法制審議会も「いまだ十分に成熟しておらず、成長発達途上」の年代としている。適切な教育や環境の調整があれば、立ち直る可能性は十分にあるとも言える》(同)

 こういう意味不明な議論は止めて欲しい。成人となった人間を少年法で保護しようとするのは矛盾以外の何物でもない。「いまだ十分に成熟しておらず、成長発達途上」だと言うのなら、そのような人間を民法で成人と見做すことも間違いだということになる。勿論、そのような人間に選挙権などあろうはずがない。そのような理由で今回の少年法改正に反対と言うのなら、成人年齢の改正や選挙権年齢の引き下げにこそ反対すべきではなかったか。

《大人と同じ刑事手続きが取られると、少年院で矯正教育を受ける機会が奪われる。虞犯(ぐはん)の対象でなくなれば、家裁に送られることもなくなり、司法の関与で健全な生活が取り戻せる機会を失う。

 実名報道で社会から拒絶されるかもしれない。必要な国家資格が取得できなければ、思うような社会復帰は困難になる。

 改定が更生の妨げになってしまわないか》(同)

 私は、大甘な<少年法>が犯罪を誘発してしまっているのではないかと疑っている。

《処罰よりも更生を重視する少年法の原則》(5月22日付毎日新聞社説)

などと言って、

《現行制度では故意に人を死なせた場合が対象だが、強盗や放火、強制性交等の罪にも拡大される》(同)

ことに反対することは、殺人以外は<少年法>によって保護すべきだと言っているのも同然で、このような甘い考え方が少年の判断を誤らせているのではないかと思うのだ。【続】