《全国29地裁で同様の裁判が起こされ、判決は2例目。昨年夏の名古屋地裁判決は、生活保護行政を担う厚生労働相の広い裁量権を認め、訴えを退けた。今回の大阪地裁も厚労相の裁量権は認めつつ、客観的な統計や専門的知見との整合性がなく、裁量権の逸脱にあたると断じた》(2月25日付朝日新聞社説)
少なくとも司法判断は割れているということだ。にもかかわらず、
《自民党が掲げた生活保護費カットの方針に沿った戦後最大の引き下げ。そんな政治状況におもねった恣意(しい)的な削減への、司法からの強い警告である》(同)
などと偏ったことを言うのは、朝日の「十八番」(おはこ)とはいえ頂けない。
今回の判決に幾つか言いたいことがある。まず、生活保護費カットは自民党の選挙公約だったということである。
《厚生労働省は2013年から3年間で、生活保護費のうち食費や光熱費などに充てる「生活扶助」の基準額を最大10%下げた。同省独自の物価指数「生活扶助相当CPI」で算定した減額だった。
(中略)
「10%削減」は、12年の衆院選で勝ち、政権復帰した自民党の選挙公約》(2月25日付東京新聞社説)
自民党が選挙で勝ったということは、有権者が自民党の公約を支持したということになるのだから、それを実施するのは当然のことである。むしろ今回の判決は主権者たる国民の審判に楯突くこととなりはしないか。
勿論、司法は司法なりの判断を下してよい。が、それは法的判断に留まるのであって、生活保護基準額のような優れて政治的事案にまで口を出すのは「越権行為」と言うべきではないか。
次に、この問題がワイドショーで取り上げられたり、国会で論争されたりした記憶がない。「森友、加計、桜を見る会」の追及に比して取るに足らぬものというのがマスコミや野党の認識だったと思われる。
最後に考えたいのが、支給額の問題より、支給資格の問題を考える方が先ではないかということである。実際、驚くほど多数の外国人に生活保護が支給されているが、これこそが生活保護における大問題なのではないかということである。
国籍 |
生活保護受給 世帯数 |
在留外国人数 |
韓国・朝鮮 |
28,796 |
542,182 |
フィリピン |
4,902 |
203,294 |
シナ |
4,443 |
668,644 |
ブラジル |
1,532 |
209,265 |
その他 |
3,806 |
423,964 |
(2011年の数値:衆議院議員 河野太郎公式サイトHPよりデータ引用)
支給の根拠となっているのが、「昭和29年5月8日付社発第382号厚生省社会局長通知」(www.city.hofu.yamaguchi.jp/uploaded/attachment/83169.pdf)である。
ここには<外国人は法の適用対象とならない>としっかり書かれている。
《生活保護法第1条により、外国人は法の適用対象とならないのであるが、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱に準じて左の手続きにより必要と認める保護を行うこと》
この単なる一局長の違法通知が今なお生きているのである。
初鹿明博衆院議員もぬけぬけと次のような質問主意書を国会に提出している。
生活保護を受けている外国人が世帯主の世帯は平成28年度に月平均で47,058世帯に上り、過去最多に達しています。
また人数ベースでみても外国人が世帯主の世帯による生活保護の受給者数は大幅に増えており、28年度は月平均72,014人で18年度の48,418人から48・7%増となっています。一方、在留外国人全体の人数の増加率は19年末から29年末にかけての10年間で23・8%にとどまっていることを考えると、在留している外国人がどのような理由から生活困窮に追い込まれ、生活保護受給に至るのかを分析する必要があると考えます。(「外国人の生活保護受給者に関する質問主意書」(平成30年11月27日提出)【続】