保守論客の独り言

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同性婚判決について(2) ~判決文が読めない社説子たち~

判決文を恣意的に解釈し、「同性婚を認めないのは違憲だ」というデマを広めたいという意図がマスコミにはあるのかもしれないが、ひょっとして判決文を読解する力が足りないのではないかと私は少し疑ってもいる。というのは、同性婚否定派の読売、産經も同様の解釈をしているからである。

《同性同士の結婚を認めるかどうかは、家族のあり方の根本にかかわる。社会的な合意がない中、同性婚を認めない民法などの規定を違憲と断じた判決には疑問が残る》(3月20日付読売新聞社説)

《札幌地裁は賠償請求を棄却しながらも、同性婚を認めないのは法の下の平等を定めた憲法14条に反すると「違憲」判断を示した。耳を疑う》(3月18日付産經新聞主張)

 判決文は、現行憲法は<同性婚>を認めないけれども、かといって同性カップルの権利を一切認めないというものでもないと言っているだけなのに、何をどうしてこのように浮足立っているのだろうか。

《判決は、民法などの婚姻に関する規定が同性婚を認めないのは憲法14条に反するとした。同性カップルに婚姻によって生じる法的効果の一部すら与えないことは立法府裁量権の範囲を超え差別にあたるなどとも判じた。

 一方で、札幌地裁は、憲法24条の「婚姻は両性の合意のみに基づく」との条文について、「異性婚について定めたものであり、同性婚について定めるものではないと解するのが相当である」として、原告側の主張を退けた。

 それでは憲法24条は、14条違反ということになる。24条について判決は「同性愛者が営む共同生活に対する一切の法的保護を否定する趣旨まで有するとは解されない」と述べたが、「両性の合意のみ」の両性を異性間と規定する以上、この解釈には無理がある》(同)

 ここまではっきり誤読されるとこちらの方が誤読しているのではないかと心配になってしまう。判決文骨子にはこうある。

3 本件規定(=同性間の婚姻を認める規定を設けていない民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定)が、同性愛者に対しては、婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは、立法府裁量権の範囲を超えたものであって、その限度で憲法14条1項(法の下の平等)に違反する。

 <その限度で>が味噌で、これは決して<同性婚>を認めないのが<憲法14条1項(法の下の平等)に違反>しているなどと言っているのではない。誤読するから<憲法24条は、14条違反>などといったおかしな話になるのである。

 読売社説子も同じ矛盾を冒している。

憲法24条は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」すると定めており、判決も異性婚について定めたものだと認めている。これを踏まえれば、現行の民法や戸籍法に同性婚に関する規定がないのは、当然のことと言えよう。

 にもかかわらず、これらの法律が同性婚を認めていないのは憲法14条に違反するというのは、解釈に無理があるのではないか》(同、読売社説)​【続】​