保守論客の独り言

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同性婚判決について(1) ~同性婚否定は「違憲」というデマ~

《同性どうしの結婚が認められないのは憲法に違反するとして、北海道に住む同性カップル3組が訴えた裁判で、札幌地方裁判所は、法の下の平等を定めた憲法に違反するという初めての判断を示しました》(NHK NEWS WEB 03月17日 11時47分)

 が、これは「誤報」と言って良い。実際の判決文を見てみよう。

本件規定(=同性間の婚姻を認める規定を設けていない民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定)が、同性愛者に対しては、婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは、立法府裁量権の範囲を超えたものであるといわざるを得ず、本件区別取扱いは、その限度で合理的根拠を欠く差別取扱いに当たると解さざるを得ない。

 したがって、本件規定は、上記の限度で憲法14条1項に違反すると認めるのが相当である。

 <上記の限度で憲法14条1項に違反する>ということであって、同性婚を認めないのは違憲だと言っているのではない。ざっくばらんに言えば、同性愛者に対しても、ちょっとくらい婚姻の恩恵に浴させてあげても罰は当たらない、と言っているだけである。

 今回の判決は、別の個所で、

憲法24条が「両性」など男女を想起させる文言を用いていることにも照らせば、同条は異性婚について定めたものであり、同性婚について定めるものではないと解するのが相当である

とし、同性婚を認めないのは憲法24条(婚姻の自由、両性の平等)に違反してはいないと述べている。にもかかわらず、同性婚賛成派が今回の判決に糠(ぬか)喜びしているのは滑稽である。

《同性同士の結婚を認めない現在の制度は、憲法に違反するとの初めての判断を札幌地裁が示した。法の下の平等を定めた14条に違反していると認定した》(3月18日付毎日新聞社説)

同性婚を認めないのは違憲》(3月18日付東京新聞社説)

同性婚を認めていない日本の現行制度は、法の下の平等を定めた憲法14条に反する》(3月19日付日本経済新聞社説)

同性婚を国が認めないのは憲法に反する》(3月18日付北海道新聞社説)

《国が同性婚を認めていないのは憲法14条が定める法の下の平等に反し「違憲」》(3月18日付南日本新聞社説)

《同性同士の結婚を認めないのは、法の下の平等を定めた憲法14条に反すると断じた》(3月18日付信濃毎日新聞社説)

 一方、朝日社説はこのあたりの事情が分かっているようで、

《同性間の結婚を認めず、国が法的保護を一切与えないのは不合理な差別で、法の下の平等を定めた憲法に違反する》(3月18日付朝日新聞社説)

と、<法的保護を一切与えないのは…憲法に違反する>とより正確に書いている。【続】