保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

夫婦別姓判決について

《戸籍法に夫婦別姓を認める規定がないのは憲法違反だと首都圏の男女4人が訴えた裁判で、東京地裁は合憲と判断、請求を棄却した》(327日付神戸新聞社説)

 戸籍法が社会が変化したことで実情に合わなくなっているのであれば変えればよいだけで、これを仰々(ぎょうぎょう)しく<憲法違反>だなどと言う神経が私には分からない。また、社説子は、

《多様化する実社会と司法の溝は広がるばかりではないか》(同)

と言うが、<多様化>にも良い多様化もあれば悪い多様化もあるのであって、何であれ多様化すれば司法がこれに寄り添わねばならないかのように考えるのは間違いである。

《判決は「法律上の姓は一つ」とし、戸籍法が別姓を認めないのには合理的な根拠があると結論づけた。最高裁は2015年、日本社会に定着しているなどの理由で夫婦同姓を原則とする民法の規定を「合憲」とする初判断を示している》(同)

 ごく常識的に思われるが、今回原告は変なことでいちゃもんを付けた。

《戸籍法では、日本人が外国人と結婚する場合は別姓を選べるが、日本人同士では選べない。原告らは、この規定に着目し、法の下の平等を定めた憲法に反すると主張した》(同)

 要は、なんでもかんでも法律に関することは<平等>にせよと言っているのである。国際結婚は例外的なものであるが、この例外に合わせて全体を変えよと言うのであるから無茶苦茶な要求である。

《原告の一人、ソフトウエア開発会社「サイボウズ」の青野慶久社長(47)は、結婚で妻の姓に改姓したが、仕事は旧姓で通している。場面に応じどちらの姓を使うか判断を迫られるストレス、株式名義の変更にかかる多額の費用など旧態依然の法制度が経済的損失を招いている-。ビジネスの最前線からの訴えは説得力があった。

 ところが、地裁判決は最高裁判断をなぞっただけで、不利益にどう対応するかは「国会の裁量に委ねられる」とした。価値観の多様化に向き合おうとしない司法への失望は大きい》(同)

 司法が社会の<価値観の多様化>に合わせて判断を変えるなどということはあってはならないことである。<不利益にどう対応するかは「国会の裁量に委ねられる」>としたのは当然のことである。

《夫婦同姓の強制は女性差別だとして国連からも再三、是正勧告を受けている》(同)

 姓の選択は文化的側面もあり、国連が各国の個別事情を尊重せず安易に介入するのは間違っている。そもそも中立的組織であるかのように「国連」と言うから誤解を生むのであって、United Nationsはあくまで第2次大戦の戦勝国を中心とした「連合国」であり、UN憲章上、日本はいまだに「敵国」状態にあることを忘れてはならない。

内閣府が昨年2月に公表した調査で、希望すれば夫婦がそれぞれの姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」の法整備を容認する人が42・5%で、「必要ない」の29・3%を上回った。5年前の調査では、どちらも30%台でせめぎ合っていたが、全世代で容認派が増えた。結婚で姓を変える、変えないを選べる制度への理解は広がっている》(同)

 「別姓夫婦」は「つがい」ではあっても「夫婦」と呼んでよいものか甚だ私は疑問に思うけれども、容認派が多数を占めるのであれば、国会での議論を踏まえ、改正するのであれば改正すればよいというのが私の立場である。